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「……ありがとう」

本当に、ありがとう。甘やかされてばかりの俺を好きになってくれて。それでもまだ、甘やかしてくれて。

尚輝と一緒にいる時間は、楽しい。
でもどうしても、アイツだったらと思っている自分がいる。アイツとの時間とを比べている自分がいる。
アイツとは、こんな甘い時間を過ごしたことなんてないけれど。

「宿題、早く終わらせて、残り楽しもう」

一週間しかないんだから。
まるで"普通のカップル"みたいな体勢の俺ら。同性ってだけで、それ以外は何も変わらない。

「分かった、」

そう言って俺の額に唇を寄せて。それが俺らのキスの代わり。
そして机に向かう尚輝の背中を見送る。

あれ以降、まともなキスは一度も交わしていない。

何もしなくていいのかと、手を握ろうともしない尚輝に聞いたら「ちょっとでも俺のこと受け入れてくれたときでいいから」と返ってた。
せめて手は握ろうと言って、自分から手を握った。祭りあの日から、ちょうど一週間経った日のことだ。
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