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俺の通う高校に、夏休みの宿題というものは基本ない。

「終わんねー!」

机の上に広げたテキストに必死になっているその後ろで、ベッドに寝転がって散らばっているマンガを読んでいた。
有名な少年誌に連載されているだけあって話の内容は面白い。
(俺も買おうかな、これ)
とは思うが読み終えた本に印刷された巻数を見て改めて思った。こんな金、ない。

「まーだー?」

ベッド下に散らばる本の山から次の巻を探しながら、さっきから一切こっちを向かないその背中に向かって言った。

「まーだー。」

「……ふーん、」

なかなか見つからない。じれったくなって両手を伸ばして探し出した。なんでこんなにバラバラなんだ。
いくら山を開拓したところで、左右に山が分かれるだけじゃ、やってる意味がない。ベッドから半身を乗り出す形で探しているのにも限界があるんだ。

「あーい、」
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