▼81 俺の通う高校に、夏休みの宿題というものは基本ない。 「終わんねー!」 机の上に広げたテキストに必死になっているその後ろで、ベッドに寝転がって散らばっているマンガを読んでいた。 有名な少年誌に連載されているだけあって話の内容は面白い。 (俺も買おうかな、これ) とは思うが読み終えた本に印刷された巻数を見て改めて思った。こんな金、ない。 「まーだー?」 ベッド下に散らばる本の山から次の巻を探しながら、さっきから一切こっちを向かないその背中に向かって言った。 「まーだー。」 「……ふーん、」 なかなか見つからない。じれったくなって両手を伸ばして探し出した。なんでこんなにバラバラなんだ。 いくら山を開拓したところで、左右に山が分かれるだけじゃ、やってる意味がない。ベッドから半身を乗り出す形で探しているのにも限界があるんだ。 「あーい、」 <<Retune? |