ワールド

かみさまにおねがいしたら、ぼくのおねがいごとも、かなうかなぁ?

「叶う、よね」

暗幕に隠れた光源を、反射板が縫われた小さな石屑に。
大人の都合で隔離された砂場から、少し離れた場所に棒立ちの時計。重力に逆らった針はまたしても重力に負けそうになっている。力尽きるのは早い。きっと多くの人がそう思う。
いわゆる、夜中だ。

「何、願ったの、」

片方だけ温い手のひら。繋がった影の先にはもうずっと隣を歩いている"大切な人"。

「……内緒」

彼は"大切な人"なだけで、それ以上でもそれ以下でもない。そして彼からすれば、僕は大切でも何でもない。ただの人。
働かないはずの相互作用は、誤作動を起こして今の関係を築いている。

「人に言ったら、叶わなくなるって、」

「確かに、よく言うね、」

ポールの先にある電灯の、三つの内二つは割れて役目を果たさない。
頼りない光で作られた、周りと大差ない影が重なる。
なんてことない。誤作動の築いた関係の延長戦。

「きっとこれで叶うよ」

何の根拠もなく笑う彼の笑顔。彼は僕の神様であることに間違いはないけれど。果たして叶うかといえば。

「お前次第だな、」

すべてが決められたシグナル通りに動かない誤作動だとしても、それはそれで、悪くない。
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