▼2 「この傘とその傘、換えっこしないかね?」 なんで、との返事に、問題が生じた。 理由なんて言えるわけねぇ……。 「お、おっきい傘がいい、から!」 とっさに出てきたのはふざけた意見だった。圭明も同じことを思ったらしい。 大爆笑している。 (拗ねるぞ、こら) 「んじゃ、俺のとこ入れよ」 「ふぁ?」 返ってきたのは思ってたのと全然違う言葉で、思わず変な声が出ちゃいました。チャンチャン。 ……じゃなくて!! 「一緒に入れって。大方、その傘使いたくなかったんだろ?」 そう言って、傘をほんの少しだけこっちに突き出した。 「う、」 (くそ、ばれてる……) 眉間に力を込めて見上げたら、いじわるな顔で見下ろされた。 なんつー性格してやがんだ。ちょっとは俺を立てろっての! 「どうしてもってなら、入ってやるよ、」 青い傘を傾けて圭明の隣、傘の下に入ってから傘を完全にたたんだ。 それから軽く傘を振って、雫を飛ばす。片手で紐を手にして、器用に、…器用に…。 「……キヨくん、」 「なに、」 「傘巻いてくんない?」 傘の柄を圭明の方へ差し出して、女の子のマネして目を瞬いてみた。気持ち悪いのなんて承知の上だ。 「……ぶきっちょ、」 (うっせ!) でも巻いてくれたのには感謝。笑われても感謝の心は必要なんだぞ!? <<Retune? |