やくそく。 JK

ポリスメンは、何も言わなかった。
手に持った命は、オレンジ色に落ち着いて、体から離れた衝撃と生暖かい風で、ゆっくり、でも一瞬で、黒くなって地面に落ちた。

「向こうでやってた人たちじゃないっすかね、」

ペットボトルにその残骸を捨てながら、顔だけで向こうを見る。ベンチを挟んだ、その向こう。無残にも散らばった残骸を見て、ポリスメンはため息を吐いた。

「気をつけて」

その一言に、中身はない。
相槌を打つと、ポリスメンは早々に去って行った。
隣に置いてある束を手に取ろうとして、先客の指先に触れる。

「……冬、」

声に顔を上げると、思ったより近い位置に顔があった。
(冬?)

「冬、星、見に行こうか、」

そしたら、誰にも邪魔されない。唐突な言葉の裏にはきっと、そう言う意味合いが含まれている。

「警察も、星見てるだけじゃさすがに来ないでしょ」

俺の考えは当たった。長年一緒にいるんだから、当たり前は当たり前なんだけど。

「どこ行く、」

目の前で動いていた唇に、そっとフレンチキスを送った。この暑い夜にお似合いのキス。
返ってくる返事はまた予想通りで、もう一度繰り返す。
今年の冬を想像して、周りの気温が少し下がった気がした。
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