バレンタイン JKS

朝学校に行ったら、靴箱に見知らぬ箱が入っていた。さすがにそれはないだろうって、思ってた。
でも開けたらその通りで。

(靴臭くなるじゃん、)

廊下のごみ箱に投げ捨てた。

「プレイボーイは違うね、」

「お前に言われたくねぇよ」

(てゆうか何でここにいんの、)
後ろにいたのはスポーツバッグの蓋を閉めていない男。閉められない男。

「バレンタインに合同試合って、……なぁ、」

しかも朝から。そう言って苦笑い。それすら決まって見えるんだから、納得しざるを得ないわけだけど。

「愛しの恋人ちゃんからは、」

「もちろん、」

これだけモテる男が、溺愛する恋人がいる。

「城生!」

腰に抱きついて、嬉しそうに城生を見つめて。可愛い顔して、柔らかい髪の毛揺らして。……でも、男。
要は城生が好きで、城生も要が好きで。
……俺も、要が好き。

「あ、重玄にもあげる、」

ポケットから取り出された小さな包み。かの有名な二十円チョコ。
(まぁ、そうだよな、)

「俺からもやろうか、」

鞄から一つ、適当に手に取って笑顔で差し出されても。
いらねぇし。城生のつっても城生のじゃねぇし。バカじゃん。

「いんね、」

手を振ってお熱い二人から離れた。左手にはちゃっかり小さなチョコ。ごみ箱になんて入れらんねぇわな。
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