▼6 遡ること、2年。 その頃の体育の時間は、多分もっとも苦手な球技で。毎日のようにボールと触れ合っている人たちとは違って、ドリブルすらうまくこなせないでいた。 ペアを組んでいた相手も運動は苦手だったようで、教員の出す課題に2人で苦労していて。 女子が体育館でバレーボールをしていた日。教員は好機とばかりにサッカーの試合をセッティングした。 「ゴールキーパー、してくれないか」 立ってるだけでいい。俺らがそっち持ってかせないから。 チーム内にはサッカー部が半数いて、彼らはそう言った。クラス内、へたすると学年内運動音痴な僕は邪魔だと。頼りがいのある言葉の裏は、遠まわしにそう言っていた。 自分でも自覚はしていたので、2つ返事で受け入れた。 トーナメントを組まれた試合は勝ちに勝ち、最終的に決勝戦まで進んだ。僕はそれまで、ゴール前から1歩として動かないでいた。 とはいえ、決勝戦はやはり違った。ボールは敵陣、味方陣を交互に渡り、何度か僕の前にまで転がってきた。その内の何度か僕はキャッチし、チームからほんの少し、嬉しい声ももらえた。 <<Retune? |