「どこか痛いところは?」
「左目か頭を強く打ったことは?」

そのどちらも同じ答えだった。
そうして医師たちは一様に不思議そうな顔をして首をひねり、同じとこを言った。

「倒れたときに頭を打ったのかも」

レントゲンで撮った画像とCTスキャンの結果を照らし合わせてまた、首をひねる。

わずかに偏った一部の脳が、左目の神経を圧迫しているらしく。それが原因で失明。
一見筋の通った話に思えるのに、なぜ首を傾げるのか。頭の中いっぱいに浮かんだ疑問符に気づいた医師は、いやね、と話を続けた。

素人にも分かりやすく、選ばれた言葉たち。相槌は打ったものの、専門知識のない僕にとっては、分かりづらいものだった。

「もう一度聞くけど、」

イスをゆっくりと回転させるのに合わせて、髪が微かに浮いた。歳を感じさせる白髪に、忘れかけていた大学の存在を思い出した。
(そういえば、倒れたときに運んでくれたのは誰なんだろう)

「左目か頭を強く打ったことは?」

何度も繰り返された質問。違うのはひとつ。僕は口を開いていた。
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