「……なぁ」 「ぁ?」 「俺ら、花見に来たんだよな?」 「だな」 「花見って、世間一般の認識としては桜を愛でつつ飲んだり食ったり、だよな?」 「まぁ、現代日本人の認識としてはそうだろうなぁ」 「…………」 「…………」 「……桜、咲いてねぇじゃん。まだ蕾じゃん」 「だな」 「だな、じゃねぇよ!花見に来たのにメインがないってどーゆーことっ!?」 「まぁ良いじゃねぇか。梅は咲いてんだ」 「そこもおかしいよね!?もう4月半ばのくせして何でまだ梅だよ!」 「山だからなぁ」 「山っつっても来るまでには咲いてるとこもあったじゃん」 「山頂近ぇからな」 「…………」 「…………」 「……花見」 「ネェもんはしゃぁねぇだろ。大体、梅も椿も水仙も沈丁花も咲いてんじゃねぇか。十分花見だろぉ?」 「……桜…楽しみにしてたのに……」 「…………」 「…………」 「桜餅買ってやっから」 「え?マジで?奢り?奢りだよな!さっき売ってるとこ見っけたから戻ろうぜ!」 「結局食い気かテメェは」 「花より団子ってゆーじゃなーい。ぁ、三色団子も一緒に買ってー」 「へぇへぇ。好きなもん選べ」 「やったー!高杉大好きー」 「菓子買ってくれりゃぁ誰でも大好きだろテメェは」 「かもねー」 「……ったく」 「でも、高杉とだから花見楽しみにしてたのはホントだぜー?」 「……なっ!」 「あっ!あそこ!あの店!早く行こうぜー」 「ぁ、こら!走るとぶつかっ……らなかったか」 ****** (しかしアイツの不意打ちは何なんだ?計算か?……恥ずかしいこと言ってんじゃねぇよ) ―――――――――― 高杉君の顔は真っ赤です。 お店着くまでには意地でも赤み引かせてるでしょうけど。 そして銀ちゃんは計算でも天然でも、お好きな方でー。 |