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あれから、一週間が過ぎた。


一週間の間に何度もああいった場面に遭遇して、何度も胸が痛くなった。
そんなんだから、やはり高杉とは会えていない。初めての彼女が出来た時だって、こんなに気まずくなんてならなかったのに。


いや、俺が避けてるだけなんだけど



「でも会いたくねーしなぁ……」


その理由が、俺には何かわからない
俯いて公園のベンチに座っていると、急に視界が暗くなった。何かと思い上を向く。すると、そこにはもう一人の幼馴染みである桂が立っていた。桂は高杉と同い年で、銀時にとっては高杉同様兄のような存在だ。


「何をしているんだ、銀時」

「……ヅラ」

「ヅラではない、桂だ。どうした、浮かない顔をして」「……別に」


俯いて言う銀時に桂は小さくため息を付く。そして無言で銀時の隣へと腰掛けた。


「高杉に彼女が出来たのを知ったのか」

「そんなの前から知ってる」

「そうだったな。奴が言っていた気がする」

「………」

「いい加減素直になれ、銀時。奴にも言えることだがな」

「素直?俺はいつも素直だ」

「……確かに、お前も奴も、自分には素直だな。だが、肝心なところで素直ではない」

「意味わかんね。何が言いてーんだよ」

「早く自分の気持ちに気付けと言っているんだ」

「自分の気持ち?」

「好きなんだろう?高杉が」

「好…き……?」

「そうだ」


目を真っ直ぐ見て言う桂は真剣そのものだった。


好き?俺が?高杉を?


ぐるぐるとその言葉が頭の中で渦を巻く。


「いやいやいや、ないないない」

「そうか。俺の勘違いか?」

「決まってんだろー。はははは…は…」

「奴と彼女が乳繰り合っているのを見て、胸は痛めなかったか」

「乳繰りって…」

「どうなんだ、思い出してみろ」

「そ、れは…」

「彼女ではなく、自分だったらとも思わなかったのか」

「自分…だったら…」

「そうだ」


自分…だったら…


手をつなぎ、抱き合い、キスを交わす


それらを想像した瞬間、ドクンと心臓が跳ねた。一気に銀時の頬に熱が集中し、ボンッと音が出そうなほどに銀時の顔は真っ赤に染まる。
そんな銀時の反応を見て、桂はフッっと頬を緩めた。


「お、俺っ…」

「やっと気付いたか」

「お、俺…うっ、…俺、俺っ…」



――好きだ、高杉が



自分の気持ちに気付き、銀時はボロボロと涙を零した。


今頃気付いたってもう遅い


銀時はそう思っていた。
肩を揺らして嗚咽を零す彼に、桂はそっと背中に手を置き優しく撫でてやる。


「銀時」

「うっ、ふ、うぅ」

「泣くな。お前に朗報だ」

「……?」

「まぁ朗報というのは『お前にとっては』だがな」

「?」

「奴は別れたらしいぞ」

「へっ?」


桂の言葉に、銀時は勢いよく顔を上げた。涙で濡れた頬をそのままに桂をみる。


「だから、あの娘とは別れたそうだ」

「な、何で」

「そんなこと俺が知るわけないだろう。奴のことだ、大して理由はあるまい。大方『飽きた』とでも言うに違いないからな」

「そっ…か」

「銀時」「ん?」

「早く行って来い」

「えっ」

「またこんな思いするのは嫌だろう。だったら行け」

「お、おう!」



「その必要はねぇよ」



銀時が立ち上がると、聞き覚えのある声。
声のしたほうに目をやると、そこには高杉の姿があった。


「たかすぎ…」

「よう銀時。久しぶりだな」

「なんでここに…」

「偶然だ。散歩がてらコンビニにでも行こうと思ったらお前らがいたんだよ」


高杉はククッと喉で笑ったあと、ゆっくりと銀時に近づいた。そして涙で濡れている頬を拭う。


「高杉」

「ん?何だ」

「俺…お前のこと「待て」

「へ?」

「俺から言わせろ」


そう言ったが早いか、高杉は銀時を抱きしめた。彼の行動に銀時は困惑するしかない。


「な、な、」

「好きだぜ、銀時。ガキの頃からお前だけが」


高杉の「好きだ」という言葉が頭の中で木霊する。
自分の気持ちに気付いた直後の、この高杉の言葉に嬉しくないわけがない。しかし、銀時には気になることがあった。


「ガキの、頃から?」

「ああ。ガキの頃からだ」

「だって……彼女」

「諦めようとしたんだよ。何度もな。けどよ、やっぱり無理だった」

「高杉…」

「やっぱ、お前が一番だ」


背中に回された高杉の腕により一層力が加わる。
多少痛みも感じたが、銀時はそれに答えるように彼の背中に腕を回した。


「俺も、好きだ。高杉」


しばらく抱き合った後、二人は口付けを交わした。









「おい、お前ら」

「「あ」」

「乳繰り合うなら帰ってからにしろ」

「乳繰り…」

「お前、その言い方やめろ」



end



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うぇっへへへへv
『ちょっとそこまで』の管理人、柊様より誕生日と言うことで素敵小説が贈られてきましたひゃっほぉぉぉぉいぃっ!!

自分の気持ちに気付かないままそれでも嫉妬しちゃう(しかも焼き餅ってわかってないんだぜ!)初い銀ちゃんが可愛くて可愛くて可愛くて可愛ry…そんな銀ちゃんをゲットしやがった高杉に嫉妬を禁じ得ません(ギリィッ)
しかし銀ちゃんが幸せなのが一番なので私は泣く泣く身を引こうと…って話が違いますねスミマセン。

とにもかくにも、素敵プレゼントありがとうございましたっ!
柊様大好きでry(調子乗るなよ)


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