それは玩具

※匿名さまリクエスト
※「鎌総受け/朝になったら女体化していた鎌之介」
※後天的女体化ですので苦手な方はご注意下さい




「なんだこれ……」


朝起きて、寝間着を脱いだ。そうしたら、女になっていた。
その言葉ばかり頭の中で繰り返しながら鎌之介は自分の身体を呆然と見下ろす。

鎌之介はまごうことなき男だ。中性的な顔立ちのせいでよく女に間違われるが、確実に男だった。


「いやいや待て待てどういうことだ?」


完全に混乱している鎌之介は服を着ることさえ忘れて頭を捻る。一日寝るだけで女になることなどあるのだろうか。いや、ない。ならばこれは一体なんなのだろうか。


「わっかんねー…」


考えても答えは出ない。こんな突拍子もない事態に直面したことがないのだから仕方がないだろう。
とりあえず服を着ることにした鎌之介は普段着用しているものを手に取った。

その時、唐突に部屋の襖が開かれた。


「鎌之介! 来るのが遅いとまた私が朝ご飯食べちゃうからね!」
「うわ!?」


襖を開けたのは伊佐那海だった。なかなか来ない鎌之介を呼びに来たらしい。
突然のことに鎌之介は布団を被って身体を隠した。服を着る暇がなかったのだ。何故身体を隠したのかと言えば、女になった自分を姿を見た伊佐那海に騒ぎ立てられるのが嫌だったからだ。


「ちょっと、また寝る気?」
「うるせぇ! 急に入って来んな馬鹿!」
「なによそれ! 起こしに来てあげたのに!……って鎌之介、何だか声、変じゃない?」


伊佐那海はことんと首を傾げる。普段の鎌之介の声より若干高いような気がしたのだ。布団に丸まり動く気配を見せない鎌之介に伊佐那海は少しだけ不安になる。


「ねぇ鎌之介、大丈夫? 風邪?」
「な、何でもねぇよ! 早く出てけ!」
「ダメ! 風邪だったら大変だもん! ……あ、六郎さーん!鎌之介がー!」


部屋の前で仁王立ちになった伊佐那海は少し離れた廊下を歩く六郎の姿を見つけて手を振る。すると六郎はすぐに鎌之介の部屋へとやってきた。


「どうしたのです?」
「鎌之介が風邪ひいたみたいなの」
「それはいけませんね」


風邪ではないのに勝手に病人にされてしまった鎌之介は反論しようとしたが、声を出す度に変だと言われて口を噤む。布団から出れば元気だということを証明出来るのだが、上半身に何も身につけていない今の状態で布団から出られる筈がなかった。

この現状をどう打破しようかと考えている間に、鎌之介の部屋にはいつの間にやら勇士たちが勢揃いしていた。


「よぉ鎌之介。風邪ひいたんだって?」
「さ、才蔵…っ! ち、ちげーよ!」
「はぁ? なら早く布団から出ろよ」
「そ、それは……」
「?」


鎌之介が丸まっている布団の傍にしゃがみ込んだ才蔵は訝しげに眉を寄せる。普段の鎌之介とは雰囲気や調子がどこか違うような気がしたのだ。


「鎌之介、とりあえず薬を飲みましょう。ほら、布団から起きて」
「む、無理!」
「? そんなに辛いの?」


佐助が用意した薬と白湯を手にしたアナは目を瞬く。どうも鎌之介の様子がおかしい。いつもの鎌之介ならば風邪でいくら辛くとも、元気に振る舞っていたからだ。


「薬が飲みたくないってだけだろ。ほら、鎌之介、起きろ」
「ばか才蔵、やめろ!」
「馬鹿はお前だ。ほらよ、これで―――……、は……?」


鎌之介がくるまる布団を強引にひっぺがした才蔵は、そこから現れた白い身体に目を奪われる。布団の中には、なんと女の身体があった。しかもその身体の顔は驚くことに鎌之介のものだった。才蔵は数秒言葉を失い、すすす…と布団を鎌之介に被せ直した。


「悪ぃ、鎌之介。まさかお前が女だったとは…」
「ちげーよ! 俺が男だってことは才蔵が一番よく知ってるだろ!」


才蔵と肌を重ねた数はもはや数え切れないほどだ。当初不明だった鎌之介の性別が男だといち早く知ったのも才蔵だった。
鎌之介にそう指摘され、才蔵は「そういやそうだな」と納得し、改めて布団をひっぺがした。


「じゃあ何でお前女になってんだ?」
「知らねぇよ! 朝起きたらもうこうなってたんだよ!」


鎌之介は布団の上に胡座を掻いて胸をはる。当然何も身につけていない上半身は皆の眼前に惜しげもなく晒されている。なかなか豊かな胸を見た佐助が顔を真っ赤にして卒倒したのを皮切りに、勇士たちは物珍しそうに鎌之介に近づきはじめた。


「これ本物か?」
「ひゃっ!」


まず才蔵が鎌之介の胸を正面から鷲掴みにした。手のひらから伝わる感触は間違いなく女性特有の柔らかさだ。才蔵は興味深そうに揉み続ける。


「俺様にも触らせろよ!」


その才蔵を押し退けて甚八が鎌之介の前に躍り出る。常々鎌之介を狙っている彼としてはこんな好機は逃せないのだろう。微かな欲を孕んだ瞳を輝かせて女になった鎌之介の身体をじろじろと不躾に眺め始める。


「はぁーん。なかなかイイ女じゃねぇか」
「ちょ、触んなばかっ!」


伸びてくる甚八の手を跳ね退けて鎌之介はキッと睨み付ける。


「お前ら何なんだよ!?」
「いやぁ、なかなか俺様のもんにならねーからさぁ、既成事実作っちまおうかと思ってよ」
「はぁ!?」


訳が分からないと眉を寄せる鎌之介の背後からアナが抱き付く。その両手はしっかりと胸を掴んでいた。


「あら、案外大きい」
「だ、から、触んなって、ばぁ……」
「むむむ…私より大きい……」
「ば、馬鹿女まで…ひぅっ!?」


アナだけではなく伊佐那海までも鎌之介の胸を触り始める。こんな不思議な現象など滅多にないし、何より皆が大好きな鎌之介が女になったのだ。遊ばないはずがない。


「鎌之介、そんな声を出して…はしたないですよ」
「だっ、て、勝手に出る…んっ」
「仕様のない人ですね」


背後からアナと伊佐那海に胸を弄られる鎌之介の唇に六郎の指が触れる。六郎の瞳が細められ、口元には楽しそうな笑みが浮かんでいる。これから鎌之介でどう遊ぼうか考えているのだろう。


「鎌之介」
「俺様達と」
「一緒に」
「楽しく」
「遊ぼうぜ?」


伊佐那海、甚八、アナ、六郎、才蔵に取り囲まれ、不気味な笑顔で見下ろされた鎌之介は自分がもう逃げられないことを悟る。

(ああちくしょう。どうして俺がこんな目に!)


悪態を吐いても状況は変わらない。女になったせいで非力になった鎌之介は碌な抵抗もできず、身体が元に戻るまで遊び尽くされた。


********


「孕ませる前に戻っちまったなぁ」
「それなりに楽しかったけどね」
「鎌之介可愛かった〜」
「私はまだ遊びたりませんけどね」


部屋から陽気に出て行く四人を見送った才蔵は散々遊ばれて布団に沈み込んでいる鎌之介の頭を撫でる。鎌之介の身体は女のものではなく、男に戻っている。

鎌之介の頭を優しくなでながら、才蔵はフッと微笑む。


「女のお前も良かったけど、やっぱそのまんまの方がいいな」
「……うるさい」


頭を撫でる才蔵の手を素っ気なく払い退け、鎌之介はぎゅっと布団を握り締める。布団に沈められた顔は微かに赤く、才蔵は柔らかく目を細める。そして再び頭を撫で始めた。

その手はもう、払い退けられることはなかった。


120601


匿名さま、リクエスト有難うございました!




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