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逃げ水のように化かされても良い

朝露に寄り添うは倒錯
摘んだ新芽が自由を奪う
僕に手綱をくれるな
風向き時機を失せず
五線譜を跳ねるメーデー
窓際に映る虚栄心

彼女の悪事千里を走る
もしも世界がなくなるとき
せめぎあう葛藤と栄華
白を黒だと詐られても
奇数か偶数かを決めつけたがる
アンダンテの言葉が歩き出した

断末魔による哀しみの解放
ついには臓腑ごとひっくり返る
空はただ安息を感じている
ひとはときに五体をなくす
歓声はあらゆる背中の上へ
飴玉は喉にとどまったままである

はるか東の沈没船
角張った定義を誂えるひとがいる
行間に託された接続詞
真実は華奢な胸の内に
ときに沈め、ときに浮き上がらせる
そうしていつしか朝日を迎えよう

初恋は息を吹き返す
誰もが星の数を求めたがる
耳の後ろでのたうちまわる
命の足音を子守歌にして
ただ安らかに眠るが良い
余白は恐るるに足りぬ

失われる両手の希薄さ
すべては黙するためにつくられた
ゼラチン状の夜が街を覆う
液状化した朝が街を蝕んでゆく
天から伝う声が骨伝導ならば
逃げ水のように化かされても良い

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