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午前2時のさまざまな追想
いつしか遠くなってゆく背中、全身全霊で小石を投げるように愛を叫びたい。
目には見えない葛藤を片手に、あなたにも春を手渡そう。
僕らはグリッドに沿ってひきあう。いつのまにか森を抜けて、中間地点の愛を拾い損ねた。
今夜も記号をけしかけて眠ろう、悪い魔女がわたしの心臓を狙っているよ。
伝え損ねた言葉が毒蛾のように飛び回ってはその身を焼いている。
おかえり、同じだけ渡すから同じだけ奪わせてもらうよ。
均等に愛されたふたつの腕には、別々の時間を貼り付けている。片方はロンドン、片方はパリ。
ひとつひとつ縫い付けられる懺悔の重みでだんだんと飛べなくなれば良い。
一枚の僕の姿をその筆で消し去った君にも花をあげたい。
スクリーン越しのあなたのかたちも、振り向けば遠い幻影。
わたしの空っぽな言葉で責めても、今日は機嫌が良くないねと言って笑うのでしょう、あなたは。
その完璧さと寛容さが、たまらなく嫌いで羨ましいのに。
発せられた言葉にはわたしが色を塗ろう。
ふるい落とした思い出たちが、クローゼットで発芽する。いまさら取り返しのつかないほど成長して、涙を喰らって、また成長して。
正当化とイコールで打ち消したはずの重すぎた感情が腹の底を徘徊している。その足跡にはひとつの矛盾もない。