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世界の終わりもきっとそう
頷いているだけでは前に進めない、両足はいまだ過去に浸かったまま。
きみが吐いた幾つかの文字。気取った猫背をなおしておくれ、自然体こそが本来の姿勢だ。
手を離す。言葉を殺す。沈黙を呼ぶカーテンコールが夜を連れてくる。
「わたしのことなんか解るわけない」素敵な拒絶反応を携える。
その一音で視線は遠くなる、聞き覚えのある音階、記憶が小指に結ばれてゆく。
増幅されただけの感情を履き違えている。
空き瓶に住む少女の嘲笑が、なにもない空に水玉を描いた。
優しさの裏に優越、情景の後ろ手に憎しみ、愛しさに見せかけた寂しさ。すべては虚無に堕ちゆくというのに。
月の見えぬ夜になると夜鴉のように泣き叫ぶのだろうよ、もういいんだよと。
鏡をふたつ持ってきて合わせ鏡の最奥にいるあなたに会いに行く。
夢が終わる、滅びのあとには朝がくる。世界の終わりもきっとそう。僕らには明日を思考する力がある。
抵抗せずに死んだ、手付かずの疑問詞だけがアスファルトに転がっていた。
眠れないノートがあなたの涙を待っている。
狭い路地の落書き、行方を持たないメッセージ。いい加減なメッセンジャーが誰かに届けて消えてゆく。独りよがりな心臓が、誰かのために動き出す。
根拠もなく前進するそれは死体。理由を与えれば、音も立てずに美しいひと。