Object:
沈みゆく彼女も悲しかろう
星が多すぎるので
ダイアグラムが増殖する
昼が微かに呻いています
希望はもう使い物にならない
わたしの居場所がわからない
届かぬ空の淵で
スカートとそよ風のしっぽ
優しさはぼくらを潰す
かつてプロローグがなかった頃
エンドロールを届けましょう
たよりが途絶えた日
目覚めたエゴが呼吸を始める
水際に手繰り寄せる
沈みゆく彼女も寂しかろう
俯いているから見えないのだ
その手は既に差し延べられている
崩壊の足音が聞こえている
僕らはときどき歩幅を間違える
最終章のタクト
トカレフに花
報復への手向け
きみを読み込む途中で
空蝉の森へ運ぼうと
私が知らない魔術
公倍数で加速する
死が互いを分かつまで
それはまるで直流のフラクタル
ゆらぐこともままならないから
ネームプレート下の憂鬱
悲しみも長くは続かない
おそろしく澄んだ笑顔で
知らないままでいたかった
夏がまた捕まえにくる
そこには動機が存在する
辿れないほどの世界から
原始の旅