しっぽにキスして!(仁王丸井)

白黒の髪なう。

「あー髪伸びてきたのう…」
「お前すっげえプリンになってる」
「床屋行くのめんどいし…」
「ものぐさだなーしゃーない!この丸井くんが髪を切ってしんぜよう」
「ブンちゃん前髪パッツンにするからヤダ」
「はぁ!?してねーよ!それにパッツン可愛いだろうが!あの眉上な感じがさ!」
「…」

「だーっ分ーったよ!切りすぎないから貸してみ?」
「…ほんとか」
「ほんとほんと」
「じゃあ頼む…」
「素直じゃねえよなあ!」

そう言って丸井は俺の髪をポンポンっと触った。ハサミを縦に器用に使って傷んだ毛先をすいていく。後ろはしっぽが結べるように残してある。

次は前髪の番だ。丸井は俺の前に来て俺の顔を(正確には髪だが)覗きこむ形になった。

「ブンちゃん腕は確かなんじゃけどのぉ…、顔が近いのう?」
「黙って待ってろよ!手が震えるっ!大五郎になりたいか!?」
「すみませんでした…」

真剣な丸井を見つめてみる。もともと大きい目をさらにさらに見開いている。たかが俺の髪ごときに真剣すぎる。健気すぎる。

無意識に少し開いて震えていた唇に口づけを落としていた。髪の毛のことはもういいや。

「!?お前バカじゃねーの!?」

丸井は大きな目を見開いた。ハサミは床に落ちた。

12.08
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