魚になったら愛してくれる(幸村丸井)

 幸村くんは焼き魚が好きらしい。俺はどっちかと言うと肉のほうが好きだ。だってあの肉汁がなんともたまらねーじゃん?って幸村くんの前では言えるわけもなく。

「幸村くんってなんで魚すきなの?」
「綺麗だからかな」

 食べ物の魚の味について聞いたけれど、帰ってきた返事は明らかに生きている魚についてだった。言葉が足りなかった。

「じゃなくて、食べ物!焼き魚すきなんでしょ」
「え?ああ、あの淡白な感じかな…」

 俺の味覚と正反対な事は分かった。柳とか仁王とかも同じ系統だろうななんて考えてると幸村くんはふっと笑って、

「丸井は肉好きでしょ?」
「うんあのギトギトジューシー濃厚なのがたまんねえ」
「そっか、理解しがたいかも」
「うっ…」
「じゃあいきている魚は?綺麗だと思わない?」
「ああ、…」

 だめだ。返事は適当にしたけどわかんねえ…俺って繊細じゃねえからなあ。

「嘘だね」と幸村くんは笑って俺を見た。





03.21
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -