氷膜より薄い肋骨(仁王)

 真っ青な海に飛び込んだ。
 薄く張った氷が顔に当たって割れた。と同時に自分のなかのなにかが弾けたような気がした。断崖絶壁から飛び降りは一瞬の出来事でなくて、数年の時間を感じた。もしかしたら実際に数年間もかかっていたのかもしれない。
 だけれども、息は続いている。何十粒の泡がブクブクと上へ向かっていった。俺は浮上出来ずに身を任せるばかりだった。もがくよりも身を任せる方がずっと穏やかだ。正しく言えばもがく気力と体力がなかったということのほうが近い。

 真っ青な海はいつしか真っ暗な闇になっていて、呼吸もくるしくなってきた。

 冷たいと感じていた海水も遠くにあるような気がした。

 ああ、俺は骨が折れてるんだなと思った。
 あと、脂肪が無いから浮かばないんだ。肉くっとりゃよかった。

※肌色注意
#timg1#

03.20
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