正論はショコラに劣る(幸村丸井)

甘いものが好きだ。美味いものが好きだ。世界が糖分で出来ていたなら俺はしあわせだ。まるでヘンゼルとグレーテルのお菓子の家みたいな。それがあちらこちらにあって食い放題。ああ素敵な世界だ。

でも、もっとすきなもの。

「丸井、俺のこと好きでしょ」

幸村くんは当然のように笑う。返す言葉が見つからなくて右斜めの方向を見て慌てるしかない。きっと俺いま赤面してると思う。要するに図星だ。大体幸村くんはホントのことしか言わないし。クラスメイトのあいつとは大違い。
でもさ、俺は幸村くんが好きでも、幸村くんが俺を好きだという保証はないわけで。矢印は片側通行であるかもしれない。
幸村くんはまた微笑みを浮かべて言った。

「じゃあさ、その丸井が持ってるチョコケーキと俺どっちが好き?」
「えっ…」
「悩むことじゃないよね?」

また言葉を発しようとする前に幸村くんが俺の言葉を遮った。
「俺は丸井こと好きだよ?」

これも真実の言葉なら俺ショコラを捨てても、いや捨てるのはもったいないからすこし自重するぐらいがんばれる。かも。

04.29
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