今日もいつも通り目覚ましの前に目を覚ました。時間はまだまだあるのでゲームをして時間を潰す。大好きなポケモンの、懐かしいリーフグリーンを久しぶりにやる。最近始めからやりなおしてやっと昨日殿堂入りを果たした。
やっぱりカントーの原点な感じがいいな。そろそろ時間なのでゲームを閉じ、ナナシマ終わったら今度はジョウトをやり直そうかな、と考えながら身支度を終えた。
鞄を持った時、丁度ノック音が鳴った。
「華音様、食事の準備ができましたよ」
「今行くよ」
「既にテーブルに用意しておりますので。私は旦那様を呼びに行くので先に食べていてください」
「…今日は珍しくリビングに来るの?」
「華音様にお話があるようです」
「あー…了解」
歯切れの悪い返事に使用人は苦笑いを返す。華音様を思ってのことですよ、と言い家の奥に行った。つい溜め息が漏れた。
リビングに行くとテーブルにパン、ハムエッグ、サラダ、コーンスープという定番の朝食が置かれていた。和食もいいけど洋食も美味しいよね。
焼きたてのパンを一口。まわりがさくっとしていて中はふわふわ。流石だ。どんな料理でもすごく美味しい。
新鮮な自家栽培の野菜のサラダを頬張っていると二階から足音が聞こえた。口の中のものを飲み込み、フォークを置いた。
「おはようございます、お父様」
肩につく長さの金髪をさらりとながし、切れ長の青い目が私を見る。誰もが羨む美貌にこのスタイル。一人の子持ちには思えない。それが風梨コーポレーションの凄腕社長、風梨月戸(ツキト)。またの名は私風梨華音の父親だ。途中は雑誌から引用させていただいた。
正面の席に座り、何かの封筒を出してきた。
「今日の午後から食事会がある。二人で参加することにした。午後は休め」
「はい、わかりました」
もしかしてそれだけか…?と期待したがそんなわけがなかった。
「成績が、一位から落ちたそうだな」
何故それがあなたの耳に入っているか私が知りたいです。顔を逸らしたかったが、あの目がそれを許さない。
「次期社長がそれでは困る。次は一位を取るように」
返事を聞く前に立ち上がり、リビングを出た。使用人さんが食後の紅茶を用意してくれた。
「…心配をしてくれているんだと思いますよ」
「……」
何か言おうと口を開いたが、溜め息しか出なかった。
時間が流れ、午後になった。先生に断りを入れ、学校を出た。
家に帰ったらドレス選んで、髪を整えて…
「 」
声が、聞こえた気がした。まわりには誰も居ない。気のせいということにして足を進めた。
「 つ た」
気のせいではない。声は聞こえたというより直接頭にくるような声で方向が分からない。変わらずまわりには人はいない。ここまで来ると夢か幻聴なのかと疑ってしまう。
「みーつけた」
どこかで聞いたことのある声が頭に響いた。いつ聞いただろうと答えを出す前に急な睡魔に侵され、そのまま意識が沈んでいった。
変哲のない日常が終わりを告げる
130809
[
back]