一瞬で鳥肌が立った。
寒いからでも感動したわけでもない。
これは恐怖だ。
畏怖と言い換えても問題ないかもしれない。
無意識のつまり本能的な恐れ。

常と変わらない、少しだけ眉をさげた、苦笑のような笑顔。
それなのに、明らかに纏う空気が違っていた。
気弱で臆病、それでいて一度あの広いフィールドに立てば、息をするのも忘れるようなプレイをしでかしてくれる。
それが俺が、監督である達海猛が知ってる椿大介という青年だった、はずだ。

ならば。
目の前に立つ彼は一体誰だと言うのだ。
冷えた空気が肌を刺す。
鳥肌は引いていたが、指先は痛いほど冷たく、奥歯が噛み合わない。

「お前は…」

誰だ。

言葉は続かない。否、続けられなかった。
彼は左足で止めていたボールを持ち上げると、両手でキツく胸に抱いた。

「誰?おかしなことききますね、監督。椿ですよ。椿大介。ああ、でも、はじめまして、ですかね」

僕と会うのは。

彼は笑った。
冬の澄んだ空気の中、それはどこまでも無垢な笑顔だった。












やってみたかった二重人格バッキー。
凄く意味不明^^
もっと掘り下げたかっ、た…




20110224





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