シャッとカーテンの開く音がして、真っ暗な視界でも瞼の向こうに陽射しを感じて眩しい。
「ん…」
「いちくん、朝だよ」
「あぁ…」
すっかり耳に馴染んだ声と言葉。
昨日までの疲れか、まだ頭は覚醒しきっていないし、眠気が襲って来るが、その姿を見たくて無理矢理押し開けた。
そうすれば。
柔らかな陽光を背に、笑う。
「おはよう。一郎太くん」
「おはよう」
風丸も上体を起こして応えた。
…何度経験してもやっぱりこの瞬間、大切だ、と思う。言い様のない温かさを感じるんだ。
「起こしちゃってからでアレなんだけど……今日お休みだよね? もう少し寝てる?」
言われて、時計を見ると、いつも起きる時間より既に一時間が過ぎていた。
寝起きの良い彼女が寝過ごした訳ではないだろうし、気を遣ってくれたんだろう。今週は得に忙しかったから。
「いや、起きるよ」
「ゆっくりしてて大丈夫だよ? 朝ごはんも温め直しやすいのにしたし…」
その上で更に労ってくれようと言うなら……それに甘えようか。
まだ言葉の途中だったのに構わず手を取って、ベッドに向かい合うように座らせる。
「休みなのは俺だけじゃないだろ」
「あ、…うん」
「だから起きて、二人でゆっくりしよう」
久しぶりなんだから。そんな言外の言葉もきっと伝わってるだろう。
昔より幾分長くなった髪に手を差し入れ、そっと引き寄せた。
触れて、離れる。
まだ鼻先が触れ合いそうなその距離のまま、目線を合わせた。
「な?」
さっと赤くなる頬に一体いつまでと呆れる反面、愛しくて。
「うん…!」
とびっきりの笑顔が見られたら、もう一度。
今度はお互い息の続く限りでも。
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