最近美代子は花屋さんで青い花をたっぷり買ってきて、それを花瓶に飾ることを繰り返しやっているらしい。写真で見せてもらったけど本当にたっぷりたくさんあって、ブーケのようだった。花の名前はデルフィニウムというらしくて、うまく言葉では言えないけど透き通るような青が水みたいで、とても綺麗な花だ。
「デルフィニウムはね、似てるの」
遙くんに。美代子の唇から零れる名前にゆっくり頷いたのは、俺も似てると思うから。
美代子は昔からハルのことが好きだった。嬉しい時も悲しい時もハルの名前を呼んで、美代子の頭の中は幼い頃からずっとハルだった。
空を見れば遙くんの色だと言うし、海を見たら遙くんが愛する場所だとかなんとか言ってたっけ。傍でその言葉を聞いて、何とも言えない気持ちになったこと、よく覚えている。
「大好きな人に似てるものを見つけると、嬉しいんだよね」
「うん」
「真琴くんもやってみてね。楽しいよ」
美代子が太陽のように明るく笑う。そうか、そうだよな。きっと、楽しいよね。
「じゃあ俺は、花屋さんでひまわりでも買ってこようかな」
真似しても、いいよね。
いいよね?