真琴くんの家は私の家や遥くんの家みたいに畳だけという古風な感じではなく、洋室でまとめられた洒落乙な家である。
今日は夕方になってもとても暑かったから、学校終わりに真琴くんの家でのんびりさせてもらっていた。私の家は橘家の隣なのだけど、自室のクーラーがいかれちゃったからお邪魔させてもらったわけである。

「はい、アイス」

真琴くんは有名アイス製品のペピコ(ブラックサワー味)をくれた。

「うわ、ありがとう」
「美代子その味好きでしょ?」

俺はチョコアイスティー味だよと満面の笑みで言ってから封を開けてぱくりと食べ出した。嬉しそうで何よりだけどチョコアイスティー味ってなんだ。

「いただきます」

私も封を開けてぱくりと食らいつく。両手でぎゅっと押さえると口の中にじゅわっとブラックサワーの味が広がった。コーラっぽいしゅわしゅわの甘い味。

「あはは、なんか美代子」
「んん?」
「野菜スティックに夢中になるハムスターみたい」

と、真琴くんは言う。ペピコが野菜スティックとしてそれの両側を持って食べてるからそのことを言ってるんだろうけど、真琴くんの例えは独特でなんとも不思議だ。

「それを言うなら真琴くんはウサギだね」
「俺はウサギって柄じゃないだろー」
「いやウサギだよ」

背は高いし筋肉も凄いけど真琴くんはウサギっぽいと思う。たれ目っぽいところとか、どこかふわふわしているとことか。

「ロップイヤーって感じがする」
「あの耳の長いやつ?」
「そう」

もう自分で言ったからそれにしか見えなくなってきた。真琴くんに長い垂れた耳が生えているのがぼんやりと見える、気がする。

「ロップイヤーな真琴くん、可愛いよ」
「なに、それ」

ペピコを片手に持ちもう片方の手は口元に持っていき、お上品にくすくす笑う。
うん、やっぱり真琴くんはロップイヤーだ。


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テーマ「人外ファンタジー」
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