真琴くんが家に来たあの日から、彼を見る目が少し変わった。
無邪気で自由な少年のような人だと思っていたけど、本当は子どもの心を忘れない大人な男性。そんな風に感じた。

そして最近は家の手伝い(自営業をしている)があって、なかなか海に行けない日々が続いた。
もう、一週間くらい行ってない気がする。
今日は暇なので、真琴くんに会いに行くことにした。

海に行くと鼻まですっぽりと海に沈みわぷかぷかと浮かんでいる真琴くんがいた。完全に怪しい。

「あの、真琴くん」
「!!」

声をかけると彼はびっくりしたようで、私をぱちぱち二度見してからバシャンと慌てて海に潜った。忙しない。

私何か変なことしたかな。と思いながらしゃがみ、真琴くんが潜ったところをじいっと見続ける。私の視線に耐え切れなくなったのか、彼はすぐに浮かんできた。ぶくぶくと口から息を吹き出して、困ったような顔をしている。

「美代子ちゃん…」
「お久しぶりです。いきなり来なくなって、ごめんね」
「いや、それは、うん」

腕でずるずると這い上がるように岩に上り、もごもごと何か言う真琴くんは、いつもの真琴くんと何かが違っていた。

彼はじーっと私を見下ろす。余りに見られてるから、その濃い緑の瞳に吸い込まれそうになりそうだった。こんなに人に見られたのは初めてかもしれない。

「美代子ちゃん、俺……」

伏し目がちに、少しだけ低めの声。心臓がどきどきする。
なんだろうこれは。この気持ちは。このどきどきは。

「ごめん、なんでもない」

眉を下げて、困ったように笑う真琴くんにまたどきりと胸が跳ねた。


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