「渚くんって、いいよね」
美代子は肘を立てて、ふぅとため息をつき渚を見つめる。
「無邪気で」
「はぁ」
「優しくて」
「ふぅん」
「それでもって、たくましい!」
「………」
適当に相槌を打っていただけだったが、気になる単語が出てきたので美代子を睨んだ。
「たくましいって…」
「渚くん、ああ見えて筋肉あるから」
あぁ、そういう話か。
「筋肉なら俺の方があるけど」
「遙くんの筋肉もブラボーだけど、渚くんの筋肉は宇宙なんだよ」
イライラする。非常にムカムカする。悪気はないんだろうけど、その言い方は気に入らない。俺は宇宙じゃないのに渚は宇宙なのかよ。「筋肉は宇宙」の意味は分からないし理解不能だけど物凄く負けた感じがする。
「…美代子のバカ」
そう言い放つと、美代子はエッという表情を浮かべて、アホみたいにわたわたし始めた。