緑の盤の上には、たくさんの黒と極少量の白が置かれている。

「ほんと、オセロ弱いな」
「ぐぬぬぬ…」

凛がニヤリと笑い、更に黒を置いて私の白を黒に染めていく。もう勘弁していただきたい。白が片手で数える程度しかないよ。

「凛、あのさぁ…」
「中止は無しだぞ。これに勝ったら何でも願い叶えるってお前が言い出したんだからな」

あぁ、タイムマシンで十分前に戻って偉そうなこと言う自分を引っ叩いて止めてやりたい。というか普通に考えて私と凛の頭脳に差があることは分かるだろう、十分前の愚かな私よ。

「もういいよ凛。私の完敗です。どう見ても白が壊滅状態です」
「認めたか」

ふふんと不敵に笑う凛が悪魔に見えた。いやこんなことを始めたのは私なんだけどね。凛をオセロで打ち負かしてメイドのコスプレでもさせてやろうかと思ったのに。

凛は椅子から立ち上がって腰に手を当て、私を見下ろす。そして、口を開いた。

「俺のマネージャーになれ」
「えぇっ?!」

意味が分からなかった。

「いやお宅男子校じゃん。そもそも学校違うし」
「ちげーよ。将来俺が選手になった時のマネだよ」
「なんと…いや私には絶対無理だよ」
「なんで」
「ドジだし向いてないと思う」
「向いてる向いてないの話じゃない!とにかくなれ!」

出た。俺様王様凛様。

「いやでも私は絶対ダメだと思う。アウトだと思う」
「いいんだっつの!」

憤慨する凛。ギザギザの歯がしゃーっと私を威嚇しているような気がする。凛は顔をうっすら赤くして、更に叫ぶ。

「俺は、お前がいいの!」

その後「あっ」みたいな顔をして、困ったようにわたわたしだしたから吹き出してしまった。
そうだった。俺様王様凛様は意外とロマンチストなんだった。


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