私は今日も懲りずに真琴くんをストーカーする。昨日あんなことがあったにも関わらず、授業中一生懸命黒板を見てせっせとノートを取る彼を見続ける。ああ、彼の斜め後ろの席で本当に良かった。何度見ても彼は可愛い。可愛い。可愛い。
昨日は物凄く凹んだけど今日は大丈夫。私は立ち直りが早いのだ。
彼は私のことを絶対キモいと思ってるに違いない。けど、この習慣は終えられない。
真琴くんがこの世に存在する限りやめられないとまらないなのだ。

そんな彼とは真逆に愚かな私は黒板に書かれた数字や文字をひとつもノートに取らず。時間はこくこくと経ってチャイムは鳴った。

休み時間になると、真琴くんは席を立った。
きっといつものように七瀬くんのところへ行きお話をするんだろう。水泳部のこと、お家のこと、鯖のこと。今日はどんな話をするのかな。
と思ってた。当たり前のように、そう思ってたのに。

「田中さん、あの…」

真琴くんが、私の目の前に立っている。私はワケが分からなくなりとりあえず立って両の手のひらを彼の方に向けて距離を取った。

どうしよう。きっと昨日のことを言いに来たんだ。それか今までのことずっとかもしれない。どうしよう嫌われた。完全に嫌われた。

「あのね、話があるんだ」

体育館裏に来てくれないかな、と彼は伏し目がちに言う。
終わった。完全に終わった。


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