私は松岡兄妹の幼馴染であり、そして自他共に認める彼らのファンであり、ストーカーである。
良く周りから何でそんなに必死になるのかと聞かれるけど、理由は「双方ともに美しくかわいらしいから」これに尽きる。

さて、今日のターゲットは兄の凛くんの方だ。
最近彼は鮫柄学園の水泳部に入ったらしく、入部早々エース扱いらしい。江ちゃんの方は毎日見られるけど凛くんは他校だし男子校だからなかなか厳しいものがある。
と、思っていたら風の噂で「鮫柄学園は外側の一部がガラスだから、プールを見ることができる」との情報が入った。
ということで放課後、さっそくダッシュで鮫柄学園へと向かった。

外側に貼られたガラス越しから、プールが見えた。水泳部がバッシャバッシャと泳いでいる勇姿も見える。
凛くんはどこだ、凛くんはどこだと血眼になって探していたら、後ろから肩を叩かれた。

「ぎゃあっ!!」

驚きと同時に物凄い悲鳴を上げてしまった。恐る恐る振り返ると、そこにいたのは…誰だろう。

「君、何やってるのこんなところで」
「えっと…(水泳部員を覗いていたなんて言えない)」
「もしかして、水泳部を見ていたのか?」

ばれてしまった。あぁこれでお終いだ。変態のレッテルを貼られて鮫柄学園のブラックリストに載り、永久追放されるんだ…。

「俺、水泳部の部長なんだけど、誰かの知り合いなの?」

これはチャンスだ。部長さんありがとう。

「はい。私、松岡凛の幼馴染でして(というかストーカーだけど)」
「あ、そうなのか。あと三十分くらいしたら部活終わるんだけど…」
「それまでここで待ってます!」

部長さんは私の気迫に引いたらしく、「そ、そう」と呟いて後ずさりをし、早急に去っていった。


「凛くん!」

部活終わり、髪に水気を帯びたままの凛くんが白の制服で現れた。昔から変わらず美しい。

「美代子…?なんでここに…」
「凛くんを見たくて」
「はぁ?何言ってんだ…」

凛くんは哀れなものを見るような目で私を見下す。ああ、その目線も美しい。

「なにじーっと見てんだよ」
「凛くんは、」
「あ?」
「凛くんは、相変わらずかっこいいね」
「…なにバカなこと言ってんだ」
「嬉しい?」
「嬉しくないっ!早く家に帰れバカ」

ぐっと深く帽子を被り、私に背を向けた。耳の後ろ側が赤くなっているのが見える。
やっぱり凛くんは、昔のままの凛くんだ。


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