「あのね、それでね、ハルちゃんがね」
うんうんと頷きながら渚くんの話を聞く。
「家や学校だけじゃなく、どこでも脱ぐんだよ!この前なんか金魚鉢の前で脱いだんだから!」
「入れやしないのにね」
「そうなんだよ。ハルちゃんって本当面白いんだから」
手を口に当ててくすくすと笑う渚くんはまさに天使だった。
「マコちゃんは相変わらずのんびりしてて変な鼻歌を歌うし、レイちゃんは変な泳ぎ方するし、ゴウちゃんは変なところで意思が強いし」
「なんともキャラが濃いね」
「でしょー」
「水泳部、楽しそうだね」
「うん。すっごく楽しい!一年のうちに設立できてラッキーだよ」
水泳部が設立出来たのはもともとプールがあったということと、全国的に見てもメジャーな部活であるというとこと、あと渚くん七瀬先輩橘先輩の努力がミソだったんだと思われる。設立して大喜びするかわいい渚くんを見ていると私も楽しいし、幸せなのである。
「渚くんは本当に水泳部の皆さんが大好きなんだ」
「うん。そうだね。でも」
「でも?」
渚くんは顔を少し赤く染めてからにやりと笑い、勢い良く私にぐんと距離を詰めた。
「美代子ちゃんのことは、もっともっともーっと、大好きだよ!」
「えっ…え?」
ぽかーんとしている私を見て、渚くんは両手で両頬を包みこみ「うわぁ言っちゃったどうしよう」ときゃいきゃいしていた。
ドキドキしすぎて私の方がどうしようだよ。