×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -












融点

「創痍、創痍…」
「久秀 っ」

何度接吻をしてもまだ足りない。二人にとって、空白となった数週間は大きかった。失った分を取り戻すかのように、何度も唇を重ねた。一呼吸をおいて、はあ、と切なげなため息をもらした久秀に、創痍は自らの額と彼の額を合わせた。触れている箇所から伝わる彼の体温は暖かい。しかし、指先だけは冷えていた。自身の指を絡めて、久秀の手を握ると、彼は素直にそれに応えた。

「やっぱり離れられないんだ…ごめん久秀、だいすきなんだ」

そう言うと、創痍は久秀の手の甲に口付けた。一度口を離すと、今度は腕に、頬に、瞼に、そして唇へと。その動作はまるで、宝を愛でるように繊細だった。久秀は小さく、満足そうに笑んだ。
いよいよ熱を孕んできて、久秀の潤んだ金の瞳がじっと創痍を見つめる。涙の膜が美しく張っていた。目を瞑ればきっと涙がこぼれ落ちてしまうだろう。

「いい?」
「好きにしろ」

そう言って目を瞑ればやはり目尻から涙がこぼれていった