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誰も知らない

これを二面性というかどうか久秀は知らないが、創痍はよくわからない男だった。

「久秀、」
「っ、 ぁあ…」

耳元で囁かれた、蕩けるような創痍の声はじんわりと久秀の頭を支配した。まるで白昼夢を見ているようで、頭がぼんやりとしていく。昼間はあれほど五月蝿く落ち着きのない創痍だが、夜になると、それが嘘のように大人びた雰囲気になる。美しい瞳は欲望に濡れ、ぎらぎらとしていて、獲物を狙う獣のような目だと久秀は思った。欲望のなすがままに、久秀を貪る創痍は嫌いでは無かった。久秀の身体を触る創痍の熱い手の感触に震え、彼にされるがまま久秀は声をもらした。

「綺麗だ」

創痍はゆっくりと久秀の髪を撫でた。そして、啄ばむように口付けをする。何度も口付けては離し、と繰り返して。汗ばんだ肌も紅潮した顔も涙がこぼれてしまいそうな瞳も。どれも創痍を興奮させるには十分だった。

「創痍…」

いつまでも愛撫をしてこない創痍に久秀は焦れて、創痍の手を握ると自らの胸の上へと置いた。

「積極的だね」
「五月蝿い、」

さっさとしろ、と言わんばかりに久秀が創痍の瞼に口付ける。そうして、彼は創痍の頬を撫でた。その仕草に創痍は胸を締め付けられるような愛しさを感じて、するりと久秀の寝巻きの間に手を入れた。直接胸を触り、既に充血してかたくなった乳首を摘まむと久秀はびくりと身体を震わせて声をあげた。

「ああっ…!」
「ここ弱いよね」

そう言うと、創痍は指で擦りあげたり、指で押しつぶしたりしながら、ぺろりと久秀の鎖骨を舐めあげた。そのまま、鎖骨あたりを甘噛みしてみると、久秀は短く、吐息を漏らした。目を閉じて快感に流されないようにと、理性を保とうとする姿はなんともいじらしい。
「ひっ…ぁあ、ぅ」

創痍は久秀の寝巻きの帯を取ると、前を開き、久秀の肌を露わにした。素肌が空気に触れ、少し寒い。再び接吻をされながら、久秀はゆっくりと布団の上に押し倒されると、股の間に膝を入れられ、足を閉じられないようにされた。創痍は久秀の胸の肉を片手でぐにぐにと揉みながら、もう片方の胸に口を寄せると、舌を突き出して乳首をぺろりと舐め上げた。

「あっ!うっ…、ひ、んっ…」

創痍のせいで、久秀の乳首はすっかり赤く腫れていて、ぷっくりとしている。創痍は自らの口内にそれを含むと、赤子のように吸い上げた。創痍の口内で好き放題に愛撫をされて、声を抑えることも出来ずに、顔を仰け反らせてしまう。

「んむ、…っく、」
「やっ…あぁ、そこ、ばっか…り、やめっ…」
「嫌じゃないくせに…」

嫌々言う久秀を創痍は見上げると、久秀の目を見つめたまま、乳首を甘噛みした。歯を軽くたてて、かぷかぷと噛むと、久秀は媚声をあげた。久秀は胸が弱い。というよりも、創痍が久秀の胸を開発したせいでこうなってしまったのだ。元々鍛えられた逞しい胸筋は同時に、淫らな性感帯に成り果ててしまった。

「この、ばか、いぬがっ…んっ、ふぁ、ああ…!」

憎まれ口さえも愛しく感じてしまう。創痍は思わずにやけてしまった。創痍は胸から口を離すと、今度は顔を下のほうへと移動させる。茂みを分けて、半分ほど勃ちあがっている久秀の陰茎を軽く手でしごいた後に、口に含むと、口淫をはじめた。わざと厭らしい音を立てて、前後に顔を揺らすと、たまらず久秀は創痍の頭を押さえつけた。

「はあっ、あっ…あぁ――っ!」
「んぐっ…っ、んんっ…!」

創痍の口内に苦味のある汁が流れ込むのが分かった。しかし、久秀が感じているのだと思うと嬉しくなり、創痍が陰茎を根本まで銜え込むと、喉奥の窮屈な締め付けに久秀は再び達してしまった。喉に勢いよく飛沫が叩きつけられる感覚に創痍は思わずえずきそうになったが、吐き出すことなく久秀の精液を飲み干した。飲みこぼすなどもっての外。創痍にとって久秀のものは何もかも愛しい。

「ごちそうさま」
「っ〜〜」

ばつが悪そうに赤面して、顔を背ける久秀を見て創痍は微笑む。しかし、まだ終わってしまわれては困る。創痍は、久秀の尻肉を掴むと、後孔を露わにした。今までの愛撫でじんわりと、濡れそぼっていたそこを、創痍は舌と指を使って解していく。入口を舌でちろちろと舐めると、久秀は吐息を漏らす。括約筋が緩んだところで、中指をゆっくりと挿入する。久秀はぶるぶると身体を震わせた。

「あっ…は、ああ…」

狭い中を指が割り開いていく。一本が根本まで収まったところで、中で指を前後させた。淫らな音を立てるその行為に久秀は直視することが出来なかった。時折、指を曲げてみたりすると、その度に中の肉が締め付ける。ある程度解れたところで、二本、三本と指を増やしていった。

「はひっ、あ、んぁ、あ―」

三本の指を激しく出し入れする頃には、久秀の表情はすっかり蕩けきっていた。ふう、ふう、と肩で息をして、金色の目には涙が溜まっていた。顔はすっかり紅潮し、今にも泣きそうな顔をしている。

「もう、もういいから、はやく、ほしいっ…」
「うん、俺も、もう…」

後孔から指を引き抜くと、創痍は切羽詰まったような表情で久秀に口づけた。それだけ余裕が無い。愛しさで胸が押しつぶされてしまいそうだった。
先走りで濡れる、立派に勃ち上がった自らの陰茎を数回しごくと、久秀の後孔にそれをあてがった。久秀が大きく息を吐くと、創痍はぐっと中にそれを押し込めていった。ずぶずぶと音をたてて、中に肉が呑み込まれていく。指とは明らかに違う質量に、久秀も思わず仰け反った。

「は、あ――あ、ああ」
「くっ…う、」

創痍の陰茎を全て銜え込むと、中はきつく締め上げてきて、気を抜いたらすぐに果ててしまいそうだった。

「動くよ…」

返事は無かったが、久秀が創痍の背に両手を回すのを見れば、それは了承の合図だった。腰を引いて、雁首が引っ掛かるところまで陰茎を抜くと、勢いよく腰を叩きつけた。

「ひぐっ…!」

そのまま激しく前後に腰を揺らすと、抜き差しをする度に結合部から激しくじゅぶ、じゅぷと淫らな水音が聞こえる。

「あひっ、ぁ…はぁあっ―…あ、ぅ」
「久秀っ…ひさひで、」

余裕の無い声で名を呼ばれる。久秀はそれに返事をするかのように、創痍の背に回した手に力を込めた。何度も、亀頭が勢いよく久秀の前立腺を押しつぶすと、言いようのない射精感が容赦なく久秀を襲った。

「ひっ―ぁあ、いやっ、ぁあっいく、いくっ」

ひときわ強く、前立腺を抉られると同時に、久秀の陰茎から勢いよく精液が飛び散った。そこは触れられてもいないのに、後ろだけの刺激で強制的に絶頂へと上り詰めさせられたのはたまらない羞恥心を伴うものであった。しかし、それを気にする余裕もなく、次の絶頂へと追いやられる。

「いやっ、っ…まだ、まだいって、いってるからっ、やめっ」
「むり、だって久秀があおるんだもんっ…」
「あおってなど、あ、ああ…あぁっ!」

足首を掴まれ、無理に体制を変えられる。より深く繋がることができるように足を開かせられ、与えられる刺激をより直接的に感じられるようになる。そのせいで余計自らがどうにも出来ないほどの快感が襲ってきた。

「ひぃいッ…―! 」

じゅぼっ、と一際淫らな音をたてて、創痍の肉棒が最奥を突き上げる。びっちりと創痍の陰茎へ絡み付こうとする後孔の肉が、抜こうとする度に僅かにめくりあがり、その光景は余計に淫らだった。そうして、再び腰を打ちつけられたとき、久秀は、最奥で勢いよく飛沫が弾けた感覚がした。創痍の好みにすっかりと造り変えられてしまったこの身体は、腹に熱い精液を出されて種付けされることさえも快感へとなっていた。

「、創痍っ」
「久秀、すき、好きだよ、大好き、」

だから俺の子を孕んで。切羽詰まったような声で、耳元でそう囁かれた。創痍が本気でそのようなことを考えているのか、まともに考える思考も、理性も久秀には残っていなかった。今はただただ、獣のように互いを求めて、目の前のこの男から貪るように抱かれるより他になかった。