「マルコー」


どでかい酒瓶を持ってふらふらと俺に近づいてきた名前は、でろでろに酔っていた。きつい酒の臭いがする。正直近づいて来て欲しくない。
空になった酒樽と一緒に、酔いつぶれた野郎共が無造作に床で寝ていた。いびきもうるせえ。俺にしては珍しく、自室で寝るかと足を進めたところで呼び止められたのだ。嫌な予感はしていた。べったりと背中にくっついてきた女の腕力で前に進むことが出来ない時点で。なんでこいつこんな力あるんだよどっから出てんだよ、と内心焦りながらずるずると名前を引きずりながら足を運ぶ。


「もっと飲もうよぉう」

「俺ぁもう寝るよい」

「どこのガキだお前。まだ夜はこれからだぞ!」

「ガキはお前だ。一人で飲んでろ」

「だーーーめっ」

「うおっ!」


離れたと思った瞬間に思い切りタックルされて、顔面が床に軽快に突っ込んだ。だからお前そういうの戦闘で使えってんだよい…!


「なにすんだこの阿呆!」

「ね マルコ」


起き上がろうと仰向けになればすかさずという様に名前が俺の腹に馬乗りになった。


「もうみんな寝ちゃってるしさ」


首筋、胸板、腰にかけてゆっくりと、なまめかしく名前の指が滑って行く。いや ちょっと待ておい。突然の出来事に俺の頭はついていけなかったが、これだけは言える。目の前の女の頭はいかれているに違いない。俺の予感は的中したのだ。名前がにやりと笑った。


「いいことしよう」





女の子のエグイ本心




120228

僭越ながら、以前からお世話になっていたジミニーさんに捧げます。
でも書いてるうちにマルコの口調あれ?ってなりましたすみません/(^o^)\