「ねぇじゅだる、おそらとびたい!」

「あ? メンドクセー」

「やっ、とぶの!」

「絨毯使えよ。アニウエかアネウエに頼めばいいだろ」

「じゅだるもいっしょ?」

「じゃねーって。俺は乗らねえ。乗りたくもねえ」

「やだやだ! じゅだるといっしょがいいのっ!」

「……チッ、仕方ねぇな」


※幼女夢主は練家末っ子設定。何だかんだでジュダルは構ってくれるから好き。甘えたで、お説教してくる夏黄文が少し苦手。


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「ぎょくあねうえー!」

「あらぁ、今日も元気いっぱいねぇ。あまり走り回ると転んでしまうわよ」

「姫君、そういう問題ではありません! 宮中を走り回るなどと、はしたないといつも申しているでしょう!」

「げ、かこーぶん」

「何です、その言葉遣い。神官殿の言葉遣いを真似してはなりませんと、以前も…」

「かこーぶんおこるからやだーっ! じゅだるー! うわああん!」

「おいおい、夏黄文。そいつ泣かすなよ。絶対俺が面倒見ることになるんだからな」

「じゅだ、じゅだ、る! かこ、ぶ、うっぅ」

「何言ってるかわかんねぇよ。鼻水つけんな。泣くな。お前の好きな空の散歩連れてってやるから」

「仲良しでいいなぁ…」

「口では文句を言っていても、神官殿は何だかんだで末の姫君には甘いですからね」


※幼女夢主は泣くと必ずジュダルの名前を呼ぶ。そしてジュダルが来るまで泣き止まないことは周知の事実である。


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「じゅだるは、どうしてじゅーたんつかわなくてもおそらとべるの?」

「急に何だよ?」

「わたしもとべるようになれる?」

「あー……ん、成長したらイケるかもな」

「ほんと!? そしたらじゅだるにだっこしてもらうんじゃなくて、じゅだるとおててつないでとべる!?」

「はぁ? 何それ、お前そんなことしたいわけ?」

「おててつなぐのは、なかよしのしょうこだもん!」

「…仲良しねぇ」


※イメージはピーターパンとウエンディ。幼女夢主の頭の中には夢が詰まっています。


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「今日はえらい静かだな。腹でも減ったか?」

「あのね、あねうえがとおくへいくんだって」

「遠く……あぁ、嫁に行くんだから、そりゃ戻らねぇだろ」

「よめにいったらもどってこないの? よめってこわいところ?」

「嫁に行くってのは、なんつーか……そう、お前の両親みたいになることだよ。結婚すんの」

「ちちうえとははうえ?」

「あの二人は一緒にいるだろ、そうなるってこと」

「……じゃあ、よめにいけばわたしとじゅだるはずっといっしょ?」

「俺んとこに来ればな」

「だったら、わたしはとおくじゃなくてじゅだるのところによめにいく! そしたら、まいにちおそらとべるね!」

「……一体いつまで俺に面倒見させるつもりだよ、お前」


※『結婚=一緒にいられる』な考えの幼女夢主と、『結婚=世話する』と捉えるジュダル。何故か懐いてるし邪険にしても結局寄ってくるので諦めてるジュダルちゃん。


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「じゅだる、みつけ、た…っ」(ぎゅうううう!)

「いくらガキの力でもそんなにしたら苦しいんだけど」

「たすけて、あっかんにおわれてる!」

「悪漢だぁ?」

「神官殿、そのまま捕まえていてください! 今日という今日はとことんお説教しなければ、姫君のためになりません!」

「んで、今日は何やらかしたんだよ?」

「じゅだるとももをたべようとおもって、きにのぼったのをかこーぶんにみられちゃった」

「おいおい、流石に姫が木登りはダメだろ。その辺に使用人いるだろーが。落ちたらどうすんだ、オヒメサマ」

「だって、じゅだるとたべたかったんだもん…」

「……ったく、自分で取ろうとすんなよ。いざとなったら俺に言えばいいだろ。とにかく、今は逃げるぞ」

「う、うんっ! ありがと、じゅだる! だいすき!」


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「せっぷんってなに? おいしいの?」

「少しは自分の年を考えて発言しろよ。誰からそんな話聞いたんだお前」

「さっきろうかで、せっぷんがあまかったってはなしてたから、どんなたべものかきになったの。じゅだるはもうたべた?」

「知らね。けど、甘くはないだろ」

「みたことある?」

「つか、何でそんなに気になるわけ?」

「だって、そのひとすごくうれしそうなかおしてたんだもん。だからすごーくおいしいんだろうなって」

「ふぅん。まぁ、お前が接吻の味を知るのはまだまだ先だな。ガキには無理」

「ざんねん…。あ、でもわたしがおおきくなったら、そのときはじゅだるもいっしょにたべようね! おなかいっぱい!」

「あー……気が向いたらな」


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「だから、何でかって訊いてんの」

「とにかくわたしとおでかけして!」

「理由も言わねぇし、目的地もしたいこともあるわけじゃねーんだろ。それで出かけたいってどこにだよ。しかも空中散歩は嫌とか、意味わかんねえ」

「それじゃいつもといっしょでいみないの!」

「意味…?」

「あ、……だって、なかよしのだんじょはふたりでとくべつなおでかけするって……こうはあにうえがじゅだるさそったらいいって…」

「また紅覇か。お前の突拍子もない発言の原因は廊下で話してる侍女の会話を盗み聞きしたか、アイツに余計な入れ知恵されたのか、どっちかだよなぁ」

「じゅだるとわたし、なかよしだよね…?」

「……あークソ、んな泣きそうな顔してんじゃねぇよ。特別なお出かけとやらは、お前がもっと大きくなったらしてやってもいいぜ」

「ほんと!? じゃあ、ふたりのやくそくね。ゆびきりげんまん!」

「はいはい、ゲンマン」


※紅覇なりに可愛がって色々教えてるけど、その結果余計な知識まで増えていく幼女夢主。ちび紅覇君はおマセさん設定です。


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「じゅだるっ、うぅ、うあああん!」

「まーた泣いてんのか、泣き虫」

「じゅだる、じゅだるっ! わたし、おひめさまやめたいよ…っ!」

「はぁ? うお、鼻水つけんな! ちょっと落ち着けよ。お前、なんかあったのか?」

「ぐすん。じゅだるといっしょがいいのに、おひめさまはどうしていっしょにいられないの?」

「な、んだよ急に…」

「あねうえたちが、いつかはあなたもとおいくにへおよめにいくのよって。それがおひめさまのうんめいだって…。とおくにいったらじゅだるにあえないっ……やくそく、したのにぃ! うわああん!」

「……それで、オヒメサマは一体どうしたいわけ?」

「じゅだるといっしょがいい。とおくにいきたくないっ」

「ふぅん。なら、このマギ様がお前の願いを叶えてやってもいいぜ?」

「え?」





「ジュダル、また木の上に寝てるの? 落ちちゃうよ」

「ウッセーな。お前だってこーんなガキの時から高いとこ好きだったろ。何回空飛びたいって強請られたと思ってんだ」

「だって、ジュダルに抱っこされて飛ぶの楽しかったんだもの。いいから下りてきて話しましょう、首が痛いわ」

「へーへー。我が儘なオヒメサマの仰せのままに、っと」

「もう。その我が儘なお姫様の許嫁、どなただと思ってるのかしら?」

「物好きなこの国の神官様だけど?」

「あれ、物好きって自覚あったの? 意外」

「当たり前だろ。ガキの頃からスゲー我が儘なうえに、じゃじゃ馬娘で泣き虫で、そんなお前を嫁にもらってやろうって奴だぜ? 奇特すぎ」

「……また意地悪言う」

「お前はまた泣きそうな顔してんぞ。ったく、いい加減すぐ泣くの止めろって。ほら、手貸せ」

「え?」

「空の散歩、行くんだろ?」

「――うん!」


※「アイツ嫁にくれ」って言っちゃうジュダルを書きたかったという小ネタシリーズでした。紅炎辺りが協力してたらいいなぁと思います。

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