「明日は大会前の調整のための練習試合だからな、あくまでも調整だからな黄瀬!」
「なんで俺に言うんスかー!」
「試合前に誠凛まで行ったのどこのどいつだよ!」


明日は黒子っちと練習試合。だから、部活を早めに切り上げて部室でミーティング中。


「なぁ、笠松ー。白川さん来ないの?」
「なんで俺に聞くんだよ、知るか。」


森山先輩の質問を笠松先輩は軽く流す。


「他に質問あるやついるか?」


誰も質問する人はいなくて、今日は解散になった。そそくさと帰る奴もいたら、荷物整理する奴もいる。


「あれ?笠松先輩は何してるンスか?」


笠松先輩は何かしている様子もないが帰るわけでもなさそうだった。


「待ってるんだよ。」
「待ってる?何をっスか?」
「お前らが帰るのをだよ!鍵閉めらんねぇだろうが!」
「あー、そういう事っスか」


俺も迷惑にならないうちに帰った方がよさそうだな。そう思って、荷物を持って立ち上がったら、さっき部室を出ていった森山先輩が勢いよく入ってきた。


「ちょ、笠松!写真部の部室まだ電気ついてたぞ!」
「あぁ?…そういえば、白川がコンクール前だから残るって言ってたな。」


冷静にかえす笠松先輩に呆れる森山先輩。部室に残っていた先輩たち(一年で残ってたのは俺だけ)は、状況を把握出来たのかため息をついている。


「とりあえず、写真部のところ行ってこいよ。」


なんで俺が、笠松先輩がそう言った時、不意に部室の扉が開いた。


「笠松いる?」
「白川さん!」
「森山くん、こんばんはー。」


白川先輩は森山先輩を通りすぎ笠松先輩の前に立った。なんか…哀れだな、森山先輩。


「わざわざどうしたんだよ。」
「一応、被写体には許可取らないと駄目だと思って。」
「…被写体?」
「そう、コンクールに応募する写真。笠松をモデルにしようと思ってさ。」


周りにいた先輩たちは二人を冷やかすようにはやしたてる。が、当人たちの間は静けさが保たれている。


「…さっき、これまで撮ってきた写真整理してたんだけどさー。評判がいい写真は笠松のばっかなんだよねー。」


白川先輩が苦笑いを見せると、つられるようにして笠松も苦笑いする。


気づいたら負け
(俺はきっと)
(二人の間には入れない)



 




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