今日は写真部が来るらしい。昨日は新聞部。いつになったらまともな練習が出来るんだ。写真部の人は新聞に載せるための写真を撮りにくるとかなんとか。大会も近いのに断ればいいじゃないっスか!と聞いたら、「あいつには借りがあるから」と言われた。
「黄瀬!こっちこい!」
体育館入り口で笠松先パイが俺のことを呼んでる。近づいていくと、制服を着た女の子が立っていた。
「これが黄瀬。見つけやすいだろ?今日はこいつメインで撮ってくれ。」
笠松先パイが俺を指差していう。会話の相手はさっきの女の子。
「え、今回笠松じゃないの?残念だなぁ。」
女の子はケラケラと笑う。笠松先パイは女の子を軽くシバく、けど俺の時よりは断然弱い。
「1年集合。」
不意に笠松先パイが叫んだ。練習開始前だったから体育館に散らばっていたけど号令がかかったから入り口周りに集まる。
「1年は会うの初めてだろうから紹介しとくわ。こいつ、写真部の部長の白川。たまーに、写真撮ってるから、気にすんなよ。」
「よろしくね、別に写真撮って売ろうとかそういうのじゃないから。」
部長ということは3年?まぁ、大人っぽいし納得がいく。なんだか、写真部なんて勿体ないと思ったけど口にはださないことにした。
「今から練習始めるけど、白川が怪我しないよう気にかけてやってくれ、質問あるか?」
どうせ、こんなところで質問はでないだろうと思ったけど部員の一人が手を挙げた。
「さっきから先輩方が白川先輩にはお世話になるから恩を売っとけよ!と言われるんですけど、白川先輩はバスケ部とは仲がいんですか?」
あぁ、なるほど。そういえば、俺も笠松先パイに言われたわ。確かに気になる。
「笠松とはご近所さん、幼馴染みだよ。別にバスケ部と仲がいいって訳ではないよ。」
「でも恩は売っとけよ、特に黄瀬!」
「何で俺なんっスか!」
「かっこいい顔して、今年は君が問題児かい?アタシで大丈夫なの?」
「お前がダメだったら誰に頼めばいんだよ、3年学年首席さん?」
そういうことか。赤点回避のために助けてもらう、と。
「白川先パイよろしくッス!」
赤点をとったら、補習やらなんやらがあるからしばらくは部活に行けない。それだけは避けたい。
俺が白川先パイに右手を差し出すと、白川先パイは俺の右手を握ってくれた。
「ふふ、素直な子は嫌いじゃないよ。」
はじめのいっぽ
(一目惚れなんて)
(無縁だと思ってた)
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