「白川さんって、黄瀬くんに告白されたの?」
「二人って付き合っているの?」
「昨日、放課後に二人のこと見た子いるらしいし!」


朝、学校に来たら何十回もこのことを聞かれた。なんでもないよー、と言っても信じてはもらえない。知っている子ならまだしも、知らない子にも聞かれて正直疲れた。


「で、屋上に逃げてきたんスか。」
「何でここに黄瀬がいるのよ。」
「たぶん智咲先輩と同じ理由っスね。」
「黄瀬も逃げてきたわけだ。」


ほんと、目立つ男と絡むとろくなことがないなぁ。笠松のときはこんなことなかったんだけど。


「智咲先輩、返事聞かせてくれませんか?」
「黄瀬って手、大きいよね。」
「話そらさないでください。」
「身長も高いしさぁ。」
「…智咲先輩、それは誰と比べてですか?」
「誰?別に客観的な感想だったんだけど。」


借り物競争の時に手繋いで、大きいなぁって思って、しゃべる時だって結構見上げないといけないし、笠松の時はこんなことなかったのに。


………あれ?
なんで、笠松と比べて……。


「ほら。」


黄瀬はアタシが何を考えているのかわかったのか意味深な笑みを浮かべている。


「やっぱり、笠松先輩でしょ?」
「なんでそんな知ってましたー、みたいな感じに話すのよ。アタシ、今自覚したのに…!」


黄瀬に気付かされたというところは不本意だけど。


「そりゃ、好きな人のことは見てたらわかりますよ。笠松先輩は何か勘違いしてるっスけどね。」
「ああ、あれは別に勘違いなんかじゃないかもよ?」
「…え?」
「二年間、笠松と距離をおいて、アタシは変わったんだと思う。」


今、アタシのここにある感情はあの頃とは違うから。


「アタシも黄瀬のこと好きだよ。」


大事な大事な後輩だから。


「もちろん、可愛い後輩としてね。」


わがままかも知れないけど、黄瀬とはこのままでいたいかな。アタシが笑ったら、黄瀬も同じように笑ってくれた。


いま、思いを伝えに
(君のことは)
(大好きだよ。)



 




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