「智咲先輩、好きな人とかいないんですか?」
「アタシに聞くんだったらまずに自分からしゃべりなよ。」


週末に学力テストがあるから、また智咲先輩に勉強を教えてもらうことになった。ちょっと休憩しよっか、と言われて話題をふったらさっきの言葉が返ってきた。


「黄瀬こそ、好きな子いないの?」
「…確信犯っスか?」
「まっさかー。」
「体育祭の時見せましたよね、俺のひいた紙。俺は本気っスよ。」
「やっぱ黄瀬の好きは恋愛感情なんだね。」


俺の真剣さとは裏腹に智咲先輩はへらりと笑う。その目は俺の方なんか見ていなくて。


「智咲先輩は笠松先輩が好きなんっスよね?」


きっと笠松先輩しか見えてないんだろう、そう思ってたからすぐに肯定の返事がくるものだと思っていた。でも、なかなか返事は返ってこなくて、智咲先輩の苦しそうな表情が何かを物語っているように見えた。


「…もう、よくわかんなくてさ。アタシは誰が好きなのか。それはどういう好きなのか。でも、よく考えたらあの頃のアタシ達は付き合うというよりかは幼馴染みの延長線みたいな感じだったんだよね。…やっぱ近すぎたのかなぁ。でも、アタシには笠松しかいないんだよなぁ。」
「智咲先輩…それ、」


その言い方だと、笠松先輩のこと好きみたいですよ?でも、その真実を本人に言ってハッピーエンドなんて俺は望んでいない。智咲先輩が幸せならばなんてそんな綺麗事はいえない。でもなぜか、


ココロガイタム
(真実を伝えたら)
(貴女は離れてしまうけど)



 




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