体育祭。それは、運動に自信のある子達のための祭りだとアタシは思っている。勉強を頑張っている子がテストで評価されるように。アタシは別に運動が苦手なわけではないがどちらかと言えば観戦する側だ。体育祭だって毎年玉入れとか綱引きだとかで終わらせていた。


「そんなアタシがなぜここにいるんだろうね。」
「それはきっと、私が智咲が意外と足速いことをバラしたからだね!」


アタシが今いるのは、午前中の注目種目である縦わりリレーである。隣にいるのは、同じクラスの陸上部のエースだ。


「だね!じゃないよ。アタシはあっこほど足速くないのに。だいたい何であっこがアタシの足の速さを知ってるのよ!」
「三年間同じクラスで気付かないわけないじゃないか!」
「別に、そこでドヤ顔を決められても嬉しくないよ。」


ドヤァ!と可愛らしく笑うあっこに勝てるわけもなく、まあたまには参戦する側でもアリかなと思うことにした。


話している間に点呼が始まったらしく、アタシは7走のところに足を進めた。隣の8走はアンカーだからか、運動部の男子ばかりだ。


「って、笠松と黄瀬もアンカーなんだね。」
「智咲先輩?!リレー出れるんスか?」
「今、失礼なこと言わなかったかったかい黄瀬?」
「白川は意外と足速いからなー。」
「笠松まで言うか!…まあ二人がアンカーなのは予測通りだけどね。」


一年生がアンカーなんてめずらしいけど、黄瀬は例外なんだろう。陸上部やサッカー部の三年生と並ぶ黄瀬はすごく堂々としていて、


「黄瀬なんて負けてしまえばいい。」
「ちょ、それひどくないっスか?!」
「一年が調子のんなってことだよ。」
「じゃあ、智咲先輩は俺と笠松先輩どっち応援するんスか?」
「…自分のクラスに決まってるじゃん。」


アタシも君と同じで
(どちらかだなんて)
(選べないんだよ。)


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補足
あっこ
智咲の友達で今後結構いい活躍をする予定です。きちんとした名前だと被ったら読みにくいと思うのであだ名っぽくしました。何かあれば連絡ください←




 




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