「智咲先輩!」
「ああ、黄瀬くん。聞いたよー、数学の小テスト満点だったらしいね。」
「え、何で知ってるんスか?!折角驚かそうと思ってたのに!」


最近白川と黄瀬が話しているのをよく見かける。黄瀬はいつの間にか名前で呼んでるし。理由を聞いたらご褒美とかわけのわからないことを言ってきやがった。まあ、白川が男子からモテるのは今に始まったことではないし、きっと黄瀬も今までと変わらないのだろう。そうだ、黄瀬だって今までと同じ、白川のことが好きな男子の一人に過ぎない。


じゃあ、このもやもやは何なんだ…?


「おい笠松!監督が呼んでるぞ。」
「ああ、わかった。白川、森山と監督の とこ行ってくるから先行ってろ。」
「おー、りょーかいだ!」


相変わらず黄瀬と話している白川は俺の方に顔を向けて返事をしたら、再び黄瀬に顔を戻した。


「ふふふ、」


しばらく歩いたところで森山がいきなり笑い出した。笑うという表現よりかはにやけているという表現が適切かもしれない。


「…いきなり笑い出すな、気持ち悪いぞ。」
「だって、さっきの笠松の黄瀬を見る目。明らか睨んでたよ。」
「ああ?知るか、無意識だよ。」
「それ、尚更怖いよ。」
「睨む理由なんかねぇだろ。」
「隠しても無駄だよ。今回のライバルは黄瀬かぁ。今までの中じゃ最大かな。」
「何も、」


何も隠してない。そう言おうとしたら、森山が被せて、しかも憎たらしい笑顔で言ってきた。


「まだ、好きなんだね。」


裏の表の表の裏
(事実の中の真実を)
(見つけられる自分の弱さ)



 




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