私の家は、民宿を経営している。観光地もあまりないここら辺では、観光客より休みを利用して合宿をする学生の方が多い。いつもなら地元の子達ばかりだから、都会から来るのは珍しいけど。
「もう、合宿も終わりやね。」
「ほんっと、お世話になったよ!」
夜、民宿の縁側で外を眺めてたら横に森山くんが来た。
「海常って神奈川やろ?こっちからは遠いわぁ。」
「たぶん、来年も来ると思うよ?」
「でも、森山くんはおらんやろ?今、三年生やんか。」
森山くんには、合宿中お世話になった。海常の部長さんはどうやら女の子が苦手らしく、冷たくあたられていたのをフォローしてくれたのが森山くんだ。それがきっかけで仲良くなった。
「で、明日出発やのに準備もせずに、こんなところで駄弁っとるんは何でなん?」
「うーん、何となく。…て言っても信じてくれないよね。」
「当たり前やん。よかったら、話聞くけど?」
「別に大したことではないんだけどね。笠松と、ちょっとね。」
あぁ、そういえば早川くんが二人が喧嘩したって言ってたな。詳しくは知らないけど。
「最後の大会、もうすぐなんやろ?仲直りせな周りも迷惑やで。」
「俺、ずっとここにいたい。」
「駄目に決まっとるやろ。」
「厳しいなぁ。」
そりゃ、私だって森山くんがここにいてくれたら嬉しいけどそういうわけにはいかない。森山くんにだってやらなきゃいけないことがあるのだ。
「とにかく!笠松くんとはよ仲直りしなよ。んで、大会頑張ってよ!」
「なーんか、成長したよね。」
「…は?」
「初めて会った時は、ここまでハキハキしゃべる子だと思ってなかったなぁ。」
「え、あっ、私のこと?」
「そうそう、もっとおとなしい子だと思ってた。」
「そうかなぁ。ただ、仲良くなったから素が出ただけやと思うけどなぁ。」
口は悪いし、もともと穏やかな性格でもないし。まぁ、ここまで素直な性格でもなかったけど。
「ほら、さっさと準備して寝なよ。明日起きれんよなるよ!」
「あ、最後にひとつだけいい?」
「ん?」
「次の大会さ、応援してくれる?」
「もちろん!海常さんにはお世話になったけんね。」
そう言ったら、森山くんにため息をつかれた。それから、気を抜いていた私の手を握って距離をつめてくる。
「そうじゃなくて、俺のこと。応援してくれる?」
私を素直にしたひとへ
(答えはもちろん)
(決まっているじゃないか。)
方言女子様に提出。
ありがとうございました。
ちなみに、讃岐弁です。あくまでも私が使っているものなので、温かい目で見守って下さい。
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