「だから、俺は先輩が好きなの!分かる?」
「何で私が怒られてるのよ…。」
二つ年下の高尾くん。バスケ部で一年生ながらレギュラー。そんな彼に初めて告白されたのが、一ヶ月ほど前の話だ。私は彼の事は噂でくらいしか知らなかったし、受験を控えたこの時期に恋沙汰に手を染めようなんて思っていなかったから、悪いけどお断りした。でも、高尾くんは諦める様子もなく、 定期的に告白される。最近では、逆ギレされる始末だ。
「俺は先輩が好き。先輩もいずれ俺を好きになる!ほら、カップル成立じゃん!」
「いったいどこからその自信が湧いてくるのよ。私が高尾くんを好きになるとは限らない。」
そう言ったら高尾くんは、にやりと口角を上げて私との距離を詰めてきた。
「でも、先輩は否定しない。」
「それは、可能性の問題でしょ?!確かに好きになる可能性を否定はしないけど、好きにならない可能性だってあるんだよ?ていうか、高尾くんは何でそんなに私にこだわるの?」
「そんなの、先輩を好きだからに決まってるじゃないっすかー。」
あぁ、言葉を間違えたな。私の方に馬鹿にしたような視線を送る彼に少しイラッとした。
「ごめん、訂正する。何で私が好きなの?」
「んー、視ててイラッとしないから、かな?」
「私は高尾くんをみてイラッとするんだけど。」
自己満か!自分がよければそれでいいのか!なんて考えてるなんて知らない彼は少し私の方に背中を向けて話しだした。
「俺、普通の人より視野が広いっていうかなんていうか。まぁ、だから、見たくないものまで視えたりするんっすよね。バスケしてる時は便利だけど。先輩を視れたのもこの目のお陰。」
そこまで言うと彼はは再び私の方を向いて幼い子供のような無垢な笑顔を魅せた。
「部活の時以外は、使わないし、正直あんまり好きな目ではなかったけど、最近は先輩みつけるの楽しくってさー。やっと、バスケ以外でこの能力が使えるのが嬉しくって!だから、そう思わせてくれた先輩が好き。」
「…要するに、私の見た目が好きなのかな?」
「いや、そうじゃないって!」
あわてて新しく言葉を考える彼がなんだかかわいくて。食わず嫌い…いや、知らず嫌いも悪いからななんて思ってしまった。
「もう少し君のことを理解できたら、改めて返事をするよ。」
フラットラブ
(ハンデが有る話なんて)
(面白くないでしょう?)
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慈愛とうつつ様に提出。
いまいち年上設定が生かせませんでした…。大人の余裕を感じていただければ嬉しいです。
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