森山先輩の休日に合わせて、私と森山先輩は会うことになった。やっぱり、幸男くんは乗り気ではなさそうだったけど、頑張れと言って見送ってくれた。そして今、私は喫茶店森山先輩を待っている状態だ。待ち合わせより早く来たため結構待っているつもりだったけど、森山先輩は案外早く喫茶店に訪れた。


「お久しぶりです、森山先輩。」
「久しぶりと言っても、この前紗夜ちゃんが学校に来ていたぶりだからね。今までにくらべたら、それほどでもないよ。」


そう言って苦笑いする森山先輩に、私もつられて苦笑いをする。


「で、今日はどうしたの?」
「実は…森山先輩に聞きたいことがありまして…。」
「俺に?笠松のこと?」
「いや、そうじゃなくて。」
「何か言いにくいこと?」
「そういう訳ではないと思うんですけど、いや、失礼なことなのかな?覚えてないし、どんなテンションで聞いたらいいのかも分からないんですけど!」
「うん?」


森山先輩は不思議そうに首を傾げている。私が覚悟を決めないといけないのに。なんだか、森山先輩が悪い人みたいになってしまう。私は一度深呼吸をして、口を開いた。


「あの!卒業式のとき、私、森山先輩と何か話しましたよね?その内容が思い出せなくて、私何かしたんですかね?私のせいで森山先輩と幸男くんの仲が壊れるのは嫌ですし、何かしたなら謝りたいというか…。」


少し早口で伝えたいことを言い終えて、森山先輩を見る。すると、そこにはぽかんとする森山先輩がいて、そしてすぐに声を殺しながら笑い始めた。


「ちょっ、何で笑うんですか?!」
「いやだって…やっぱ結局笠松のことだし。それに、何かしたのは俺なのに謝りたいって(笑)」
「だからってそんなに笑うことないじゃないですか!」
「あーあ、やっぱり紗夜ちゃんはいいね。笠松が羨ましいよ。」
「褒めたって許しませんから!話してくれるまで許しませんから!」
「はいはい。紗夜ちゃんには気持ちのいい話じゃないし、カッコ悪い俺の話だけど。」


そう言って森山先輩はぽつぽつと話始めた。


再会と昔話
(貴方は相変わらず)
(いい人だ。)



 


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