バスケ部男子の皆とお別れして、体育館の外へ出る。幸男くんは無言で私の斜め前を歩く。…なんか不機嫌じゃない?


「ねぇ幸男くん。森山先輩と何話してたの?」
「別に、お前には関係ないよ。」
「何それ、秘密の会議ですかー?」



何か言い方冷たくない?別に関係なくたってもっと他に言い方はないの?いや、あるでしょ!


「何でそんな不機嫌なの?てか、不機嫌なのはいいけど、私に当たらないでよ!」
「はぁ?当たってないだろ!」
「当たってるよ!絶対森山先輩と何かあったんでしょ?仲直りしないと知らないんだからね!」


森山先輩が幸男くんに何を吹き込んだか知らないけど、私まで巻き込まないでよ。もういい、もう帰る。先を歩いてる幸男くんを抜こうとしたら、いきなり腕を掴まれた。もちろん、掴んだのは幸男くんだ。


「もう、何?」
「紗夜、森山と何かあったのか?」


…森山先輩と?そりゃ、大学時代はいろいろあったけど幸男くんと会ってから何もなかったし、森山先輩が卒業してから今日までの間、一度たりとも会っていない。


「特別なことは何もないと思うけど。」
「…そっか、ならいいんだ。気を付けて帰れよ。」


幸男くんはそう言って私の腕を掴んでいた手を離して体育館へ戻っていた。


通じ合わない過去
(お願いだから)
(今の私を見てよ。)




 


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