「とゆうわけで、『第一回委員長変身プロジェクト』を開始します。」
どうしてこうなった。私は生徒会の仕事を終えて、自分のクラスの手伝いをするために教室に帰ってきた。私のクラスの出し物は喫茶。外装もほぼ完成状態で暇そうな子達がちらほら。そう、事件はそこから始まったのだ。
「あ、委員長おかえり!早速で悪いんだけど、衣装のための採寸していい?」
「いいよ!全然クラスの手伝い出来なくてごめんねー。」
「大丈夫だよー、はい、腕あげて!」
どうやら本格的な採寸らしくウエストやらなんやらを細かく図っている。そういえば、伊藤さん家庭科部だもんなぁ。なんて考えながら、やられるがままになっていたらいきなり伊藤さんの手が止まった。
「委員長さ、スカート短くしようか。」
「は?!」
「これを期に化粧も覚えようか。髪も、三つ編みやめようか。」
「え、伊藤さん…?」
「大丈夫、何も怖くない。」
いや、貴女の勢いが怖いわ!恐る恐るどうして?と聞いてみたら、今どき校則真面目に守ってる子なんて天然記念物にもなれないよ!とわけのわからないことを言われ、暇をもて余した子達が面白がって集まってくる。
「委員長可愛いのから、大丈夫だよ。」
「あれだよ、磨けば光る原石タイプ?」
皆、好き勝手言って…!そりゃ、私だって可愛いくなりたいけど。森山くんの周りにいる女の子たちは可愛い子ばかりだ。私なんかじゃ勝てない。
「委員長顔赤いよ?あ、好きな人のことでも考えてた?」
「え、違っ…!」
「何々、委員長好きな人いたの?」
「誰?うちの学校?!」
「何組の奴?」
いつの間にか、作業していた人達も話に加わっていて、男女構わず質問攻めだ。こういう団結力は強いんだよなぁ。こうなったら素直に言わないと、抵抗しても引っくるめられるのが落ちだ。
「……二組。」
「の、誰?」
「………森山くん。」
私がそう言った瞬間、教室が静かになった。かと思えば、個々に「なるほどね」だとか、「絶対大丈夫だよ!」とか私にどこからともなく現れた自信を押し付ける人とか。
「皆でさ、委員長の恋、実らそうぜ!」
そして、冒頭に戻るわけである。
文化祭まであと2日
私改善計画委員会
(貴方に可愛いと)
(思ってほしいから。)
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