「俺も文化祭準備したかったなー。皆忙しいから今日はギャラリー居ないしさ。」
「あきらめろ、これが俺らの運命だ。毎年そうだっただろ。」


文化祭が一週間後に差し迫った今、午後からは授業がなくなり皆文化祭の準備をしている。が、俺たちバスケ部を始めとする全国レベルの運動部は文化祭よりも部活優先だ。


「あーあ、最後の文化祭なのにな。」
「でも、参加できないのは準備だけでしょ?当日は参加出来るんだから部活頑張りなよ!」


女子の声!と思って、振りかえったらそこには陽菜ちゃんが立っていた。


「武内先生は?用事があったんだけど。」
「あぁ、今日は遅れてくるらしいよ。」
「え…、じゃあここで待ってようかな。」
「陽菜ちゃん見学?!俺、陽菜ちゃんのために頑張るから見ててね!」
「……は?」
「委員長、それいつものことだから気にしなくていいぞ。」
「俺はいつも本気だよ!」


といっても、たいていの女子にはありがとねー、と軽く流される。言われた側だって本気で受けて止めてなんていないのだ。


「うーん、森山くん、そういうことは本当に好きな人に言いなよ?」


それは陽菜ちゃんも同じらしく、軽く苦笑いを見せた。でも、この前初めて陽菜ちゃんに会ったとき、可愛いとかそういうの抜きで、雰囲気とか好きだなって思ったのは確かなんだ。


「…本気、本気だから。」


陽菜ちゃんに聞こえるか聞こえないかくらいで呟いたら、陽菜ちゃんは体育館の外に走って出ていってしまった。


俺だって
(本気の恋を)
(叶えたいのだ。)




 



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -