森山由孝くん。隣のクラスの男子生徒。女好き…とゆうかまあ、惚れやすい性格なため残念なイケメンとして有名である。でも、私が彼の存在を知ったのは、そんな噂が浮上する前の話だ。






















「……入学早々雨とか最悪だよ。」


入学式が終わって帰宅しようと思ったら、突然の雨。せっかく桜もどんどん散ってしまう。どうやら傘を忘れた生徒は私だけの様で生徒たちは次々と帰ってしまう。そんな中、


「あれ、君、傘は?」


靴箱で散っていく桜を眺めていると、後ろからいきなり声をかけられた。


「えっと、今日は持ってきてなくて…。」
「じゃ、俺のでよければ。ビニール傘だけど。」
「いやでも、それじゃあ貴方が濡れるから!」
「俺いまから部活の見学行くし、終わるまでには止んでるよ。じゃあね!」


そして、私が引きとめる前に彼は去ってしまった。










あれからもう二年が経つ。ただ、傘を貸してくれた、それだけの行為が私を虜にした。私の中は彼の存在が支配している。そう、私はあれからずっと彼しか見えていないのだ。


それは秘密
(誰も知らない恋心は)
(蕾のままで咲かないの)



 



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