文化祭前日。昨日は私の恋バナで盛り上がっていたけど、今日はそういうわけにはいかない。うちのクラスは食品を扱う分いろいろと注意しなければいけないことが多い。私は伊藤さんと食品チェックの最中だ。


「じゃあ私の仕事、二日目だけ?」
「うん、委員長は生徒会もあるでしょ?だから、二日目だけよろしく!で、森山とまわらないの?」
「まわらないよ!ただの友達だし!」
「そういうものなのかなー。」


食品をチェックし終わったところで、次は食器類のチェックだ。


「…あれ、一箱分たりなくない?」
「ほんとだ、生徒会室かな?私見てくるから、伊藤さん他のチェックお願い!」


了解、伊藤さんのその返事を聞いて私は教室から出た。隣のクラスはお化け屋敷らしく、暗幕が張られている。そういえば、今日もバスケ部は部活なのかな?じゃあ、森山くんここにはいないかもなぁ。なんて考えながら教室を少し覗こうとしたら、同じタイミングで中から人が出てきた。


「あれ、陽菜ちゃん?うちのクラスに用事?」


中から出てきたのは森山くん。どうやら今日は準備の手伝いのようだ。前日は体育館も使えないしね。


「いや、気になって少し覗いただけだよ。」
「何が気になったの?」
「何って…完成度?」


森山くん、だなんて口が裂けても言えない。でも、嘘をつくのはなんだが申しわけなくて、少し目線を下にしたら、森山くんにくいっと顔をあげられ無理矢理目を合わせてきた。


「ほんとに?」
「…ほんとだよ。」


弱々しい私の返事。嘘だってバレたかもしれない。でも、森山くんはふーん、と軽い返事をして私の顔から手を離した。


「俺のこと、気にしてくれてたら嬉しかったんだけど。」


予想外の言葉に、声がでない。少し顔を赤らめながら話す森山くんはいつもと違って少し可愛い。


「だから、そういうことはちゃんと好きな人に言いなよ?じゃないと私、調子にのっちゃうよ?」
「調子、のってもいいよ。」


そう言って、私の頭を軽く撫でる。距離が近くてまともに顔が見れない。でも、向こうから、森山くんから、私の方へ歩み寄ってくれるなら、私も少し前進してもいいのかな…?


「あのさ、森山くん…!」


勇気と少しの希望を胸に
(いざ、闘いへ!)
(勝利は我手の内に!)




 



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