「くっそ、何で雨降るんだよ。天気予報は晴れだっただろ!」
いきなり部活が休みになって、暇だったからコンビニに月バス買いに行った帰り道、いきなり雨が降ってきた。コンビニに行くだけだし、晴天だったから傘なんて持ってきてなかった。まぁ、タオルを持ってただけましかな。走って帰ろうと思ったけど、意外と雨が強くて耐えられなかったからたまたま通りかかった屋根のある店で雨宿りさせてもらうことにした。
「あ、君も通り雨の被害者?仲間だね!」
屋根の下には既に先客がいて、そこにいた女の子は俺に笑いかけてきた。被害者って…
「…っ、あんたずぶ濡れじゃねぇか!拭けよ!」
「だって、タオルも何も持ってないし。脱走中に雨降るとか普通思わないじゃん!」
「たぶん、普通の人は脱走しようっていう考えがないんじゃないか?」
「あんなとこにずっと住んでたらしんどいよー。君も来てみなよ!」
「なんで俺が…ほら、タオル貸してやるから拭けよ。」
そういってタオルをつきだしても受け取らないから、無理矢理頭を拭いてやった。
「ちょ、痛いって!やめろー!」
「じゃあ自分で拭けよ!」
「あーもう、わかった。わったから!」
その子が自ら頭を拭き始めたから俺は手を離した。
「あー、止んだね、雨。」
「ほんとあっという間だったなー。じゃ、俺行くから。お前はきちんと拭いてから帰れよ!」
「は?え、タオルは?!」
「そんなびしょ濡れのタオルなんかいらねーよ。あげる、じゃあな!」
屋根の下から出ようと思ったら、いきなり腕を捕まれた。振り返ったらタオルを頭にかけた彼女が必死な顔で俺の腕をつかんでた。
「朝陽病院5階512号室!」
「……?」
「アタシしばらくはそこにいるから!絶対に来てよね!約束だからね!」
そういって、手が腕から離れたと思ったら、彼女は走りさってしまった。
始まりはここだった
(君の笑顔は)
(俺の脳裏にはりついた)
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