「あれ?笠松先輩、まだ来てないんスか?」
「あぁ、あいつなら途中参加だと思うぞ。報告に行ったんじゃないか?」
「…は?」
「今年もI・H出場が決まった。」
美知さんが眠っているお墓には綺麗な花が供えられている。
もう、あれから一年が経とうとしている。あのあと看護士さんから受け取った美知さんの手紙に書かれていたことはたった一言。
【信じてるから】
その言葉に主語なんて存在はなく、あまりにもアバウトすぎて初め読んだときはイマイチ意味を理解していなかったが、俺はこの言葉に何度も助けられた。美知さんは姿を消してもなお、俺を支えるのだ。
「…行ってくる。」
今年もまた、夏が始まる。
end
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